【アメリア】対談の部屋 9-1 翻訳小説にタイトルをつけよう!
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<第9回>  全6ページ

第9回 翻訳小説にタイトルをつけよう!
        
平田真美 氏,桜田直美 氏,担当編集者N

 「翻訳小説にタイトルをつけよう!」「賞金は印税1%」
2003年秋にランダムハウス講談社主催、アメリア・ネットワーク協力で行われたこの斬新なコンテストを覚えていますか? 夢の印税生活が手にはいるとあって(!?)応募総数はなんと2200通を超えたそうです。
 そこで今回は、2200通の応募の中から見事タイトルが採用された平田真美さん、この本の翻訳者である桜田直美さん、そしてランダムハウス講談社から担当編集者のNさんにおこしいただき、コンテストの裏話から、翻訳小説のタイトルについて、さらには翻訳についてまで、熱く語っていただきました。

『あの日の私で恋がしたい』
ジェニファー・オコンネル著
桜田直美訳
平田真美タイトル
ランダムハウス講談社

<あらすじ>
主人公のサラはフリーライター。夫と2歳の娘をもつ。ある時、テレビ番組『スタッグ』の舞台裏を記事にするという仕事の依頼を受け、潜入取材を始めることになる。『スタッグ』はひとりの独身男性が複数の女性候補者の中から結婚相手を選んでいく過程を放送する番組。大変身して若返ったサラは、いつしか本当に相手の男性に恋心を抱くようになる。




 ・プロフィール

平田真美 氏 (写真左)
今回、2200通の応募の中から、平田さんが考えた『あの日の私で恋がしたい』が、見事、最優秀タイトルに選ばれる。平田さんは、パリ第三大学にある通訳・翻訳の専門機関で一年間学んだ後、昨年日本に帰国。現在はフリーランスのフランス語翻訳者。

桜田直美 氏 (写真右)
この本の翻訳者。そして、アメリア会員。1999年に翻訳者としてデビュー。訳書はのべ14冊。主な訳書は『誰でもできるけど、ごくわずかな人しか実行していない成功の法則』(ジム・ドノヴァン著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)『こんな時はこうする! 後悔しない決断術』(ブルース・ワインスタイン著/角川書店)等。編集者N氏とは以前にも何度か一緒に仕事をしたことがある既知の仲。

担当編集者N
ランダムハウス講談社の編集者にして、この本の担当者。タイトル公募コンテストを企画したのも彼女。今回、なぜイニシャルにて登場なのかと尋ねると「編集者は本来黒子的存在。著者や訳者、そして本そのものが目立つように、私は黒子に徹します」とのことでした。



そもそもタイトルって誰がつけるの?


- - 今回のコンテストについてお尋ねする前に、まずは素朴な疑問から。一般的に翻訳本のタイトルは、誰がつけるんですか?


:書名や見出しは、普通はほとんど編集者が考えます。

桜田:そうですよね。私は翻訳者として、今までどの出版社さんから出した本も、タイトルをつけたという経験はありません。もちろん、原書にはタイトルがついていますから、それも訳しますが、ただそのまま直訳するだけです。最終的には原題にかかわらず、編集者さんがキャッチーな感じなものをつけてくれますね。

:翻訳原稿が納品されてくる時には、タイトルはまずついていません。ファイルを開けると、いきなり本文から始まっていることが多いです。ファイル名として英語のタイトルがそのまま書かれていたり……。翻訳者さんと電話で話すときも「アレ送りますね。3章から5章まで」といった感じです。

桜田:そうそう、“あの本”とか“例のアレ”って言ってますよね(笑)。

- - ということは、訳さないことが当たり前になっているわけですか?

桜田:そうですねぇ。

- - なかには凝ったタイトルをつけてくる翻訳者さんがいそうな気がしますが。

:今までのところ、私の経験ではないですね。

桜田:ないんですか?結構いるような気もするんですけど。

- - 桜田さんは、どうしても自分がタイトルをつけたいと思った本はなかったんですか?

桜田:そもそも、タイトルをつけるが苦手なので、つけたいと思ったことはありません。初めての訳書の時も、タイトルは訳さずに冒頭の“謝辞”から訳したと記憶しています。翻訳書のタイトルは原書とまったく違うものが多いから、ここで私がタイトルをつけてもしょうがないかなって思って……。

平田:翻訳者はタイトルを訳さないなんて、知りませんでした。私はてっきり、翻訳者がタイトルの案を出して、翻訳者さんと編集者さんが話し合って決めるのだと思っていました。実は、まだ出版はされていないんですが、私もフランス語の本を翻訳したことがあるんです。私は、タイトルは翻訳者がつけなければいけないと思っていたから、かなり悩んでつけたんですよね。なんだ、悩む必要なかったんだって、今知りました。
 
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