【アメリア】対談の部屋 11-2 スペシャルトライアルから新人翻訳家が誕生!〜本を作る。編集者と新人翻訳家の共同作業〜
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<第11回>  全6ページ
第11回 スペシャルトライアルから新人翻訳家が誕生!   〜本を作る。編集者と新人翻訳家の共同作業〜

2.子どもの頃からの20年越しの夢が叶い、児童書の翻訳者に

--飯野さんは児童文学の分野に照準を定めて翻訳の勉強をなさっていたのですか?

飯野:話せば長くなりますが、私の翻訳学習歴は、途中途切れていた時期もありますが、のべ20年近いんですよ。

国頭:飯野さんのこれまでの話は、私も初めてです。ぜひ聞かせてください。

飯野:まず翻訳書に出会ったのは小学3年生の頃。『ナルニア国物語』を読んで大好きになりました。中学に入って英語の勉強が始まると、英語が大好きになって、そこで考えたんです。本が好き、英語が好き、だったら大好きな英語の本を日本語にする仕事が私にはぴったりなんだって。それが中学2年生の時でした。

国頭:中学生でそこまで考えるとは、大したものですね。

飯野:実際には、大学生ぐらいから、「どうしたら翻訳家になれるんだろう」と道を模索し始めて、ある通信添削講座をはじめました。社会人になってからは翻訳学校に通うようになり、基礎科を1年、2年目からは児童文学のクラスに入って勉強を続けました。結局そのクラスに7年ほど通ったのですが、まわりには私よりも優秀な方がたくさんいらっしゃるのに、みなさん仕事を得るのに苦労していらっしゃる。だったら私なんて到底無理だと思い、結婚や仕事など事情が重なって、翻訳学校を辞めて、いったん翻訳の勉強から遠ざかったんです。

国頭:翻訳家になる夢を諦めたわけですね。

飯野:そうですね。その頃、大学予備校で英語を教えていて、しばらくはそちらに専念していました。でも、仕事を1年、2年続けるうちに、「私は本当は何をやりたいんだろう」と考えるようになって……。ちょうど同僚の先生の娘さんが実務翻訳のプロだという話を聞いて、児童文学の翻訳家にはなれなかったけれど、実務翻訳なら勉強すればなんとかなれるかもしれないと思ったんです。これは、当時の私が実務翻訳についてよく知らなかったのでそう考えただけで、実際には実務翻訳家の方が簡単になれるということはまったくなく、これもあえなく挫折することになるのですが……。

国頭:では、その時は実務翻訳に方向転換を?

飯野:はい、通信講座で実務翻訳の勉強を始めました。何年かやって、ある程度の成績は取れたのですが、いくら成績が良くても素人とプロの間には果てしない溝があるんですよね。一番の問題は知識量でした。文学部出身の私には、経済や金融、あるいはITの知識がまったくなかったのです。専門書を読んで勉強しようと思ったのですが、もともと経済やITに興味があってこの方面の翻訳の勉強を始めたわけではなかったので、専門書を読むことが苦痛なんです。そんな状態で力が付くはずもなく、結局3年くらいで挫折しました。その時こう考えたんです。「児童文学でも実務でも、翻訳者になるためにはかなりの努力が必要だ。だったら好きなことで努力したい」と。そこでまた児童文学の翻訳家になる夢が復活したんです。

国頭:挫折しても、常に前向きに考えられるって、すごく大切なことですよね。だからこそ夢に近づくこともできる。では、その後は児童文学の勉強を再開なさったのですか?

飯野:はい。実務翻訳の勉強を始めたときに、アメリア(旧FMC)に入会して会員になっていたので、独学で勉強をしながら、文芸ものに的を絞ってトライアルにチャレンジを続けていました。
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