【アメリア】対談の部屋 12-5 翻訳お料理番鉄人座談会 Ms. Shellyお疲れ様でした&図書カード争奪レシピ公開しちゃいます!
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第12回 翻訳お料理番鉄人座談会 Ms. Shellyお疲れ様でした&図書カード争奪レシピ公開しちゃいます!

5.鉄人からのリクエスト:質問の内容はできるだけ詳細に。推敲は訳文だけじゃなく原文も!

F:イデデデデ、いつもより多めに叩かれております。応募数もさることながら、質問もたくさん寄せられますよね。ただ、紙面の都合上、全ての質問にお答えできないのが申し訳ないです……。

S:そうね。こちらからも伝えたいことがあるから、お答えできる質問は特別なものを除いて、多数決にならざるを得ないのよね。

F:そのよくある質問の一つに「表記の仕方がわからない」というものがあります。例えば、映画や本のタイトル。

J:邦題が見つからない場合、実際の仕事上ではその都度表記を決めるわけだが、一応は原文表記が原則。場合によってカタカナにしたり、訳したりすることもある。邦題は二重括弧『 』で括るのが常識だけど、応募訳文を見ると「 」や“ ”や〈 〉を使っていたりして、意外と知らないんだなぁと思った。

F:「―」ダッシュ(ダーシ)の訳し方についてもよく聞かれますよね。

S:「―」は約物(文字・数字以外の記号)だから、それ自体で意味はなさないのよ。「―」を結んでいる前後の文の関係で扱い方は変わってきます。必ずしも日本語でも同じように「―」を用いらなくてはいけない、ということはないのよ。

O:約物と言えば最近、日本語で心情を表わす時によく使われる三点リーダー「…」の代わりにナカグロ「・」やピリオド「.」を使って「・・・」「...」と表記している訳文を見るようになった。お友達同士のやり取りならいいけど、それ以外の場所ではやめた方がいい。こういうことで選考から外れたりする可能性だってあるし(実際外したことアリ)、仕事ならなおの事、常識を疑われちゃいますよ。

F:文体を「ですます」調か「である」調にするのかで悩んでいる人も多いです。

S:原文の内容と読者層によるわね。大抵は「である」調で問題ないけど、顧客を対象にした記事なら「ですます」調の方がいいし、子供を対象にした勧誘記事なら「〜しよう!」「待ってるよ!」とか口語体だったり。原文をよく読んで性質を見極めるのが先決!

F:あと「原文が一文で表わしている箇所は日本語でも一文で訳さないといけないのでしょうか」という質問も多いですね。

J:そもそも日本語と英語じゃ言語構造が違うから、無理に合わせるとかえって不自然な日本語になってしまうこともある。それに、英語では一言で表せても、日本語じゃ無理な場合があるし、その逆もある。翻訳というのは、解釈が正確であればそれでいいってもんじゃない。読みやすい日本語で表現する作業も大事なのだ。だから必要に応じて、原文が一文で記載されていても、訳す時は二つに分けることもある。ただし……。

F:ただし……?

J:フィクションは文の長さ自体が作家の表現だったりすることもあるわけだから、あんまり安易に分けない方がいい。わざと複雑な言い方をしている場合だってあるからな。ま、お料理番でフィクションを扱うのはジョークくらいだろうし、ジョークなら今のところ問題ないですよね、Ms. Olieve?

O:ジョークはフィクションだけど作者なんていないも同然だし、逆に少しでも面白&わかりやすく演出するために、軽く補足もしくは省略することもあるんです(笑)。

J:そうだ! 質問・感想欄によく「〜の意味がわかりませんでした」「最後の文が難しかったです」というようなことを書く人は多いんだけど、これ実は困ってしまうのだ。

O:どうして意味がわからないのか、難しく思ったのか、そこにいたるまでの過程を具体的に教えてくれないと、ちゃんと答えられないのよね。

J:そう。取り敢えずその人の訳文を見て、こういうことなのかな? と判断するけど、他の箇所に質問が集中していると、泣く泣く後回しにすることも多い。「ごめんよ」って。

F:え、Mr. Joshua本当ですかぁ? 好感度上げようとしてませんかぁ?

J:(バシッ)小バエが止まってたよ。F君、食べカスが服についているんじゃないか?

F:っくぅ、私のテーブルマナーは定評あるんですよっ! でも確かに質問の内容が上記のように一言だけですと、紙面で答えてみたものの、その方が納得いただいているのか気になります。

S:逆に、その過程をきちんと書いてくれていると答えやすいわね。文法的なことから解説しなければいけないのか、原文の意に沿った訳への解説だけでいいのかがわかるから。それに努力の跡が見えると助けてあげよう! と温かい気持ちにもなるわね(笑)。最近は、リサーチの結果を簡潔にレポートしてくれる人も多くなっていて、ずっと「翻訳は調査よ!」と繰り返してきた成果が実りつつあるのかな、と嬉しい気持ち。

J:回答の優先順位も上がるかも(笑)。

F:推敲の大切さは、皆さん紙面でも何度となく繰り返しおっしゃってますよね。

S:でも、応募の送信日を見ると締切日の2週間以上前に応募している人が多くてびっくりしちゃう。もう送ってしまっていいの?って(笑)。

O:訳了後は最低でも1日は寝かすように言っているけど、もう少し言うと寝かすのは訳文だけじゃなく、原文も。案外、訳文は推敲しても原文にまで何度も目を通す人は少ないんじゃないかな。

F:ハッ! 私そうでした。

J:だから、いつまで経ってもツメが甘いのだ。原文あっての訳文だということをお忘れなく! 翻訳に入る前に何度も目を通しているからといって、油断してはいかん。訳了後に原文と照らし合わせてみると案外、訳抜けしていたりすることもあるし、訳了後に新しい発見をすることもある。

F:あぁ、思い当たることが走馬灯のように駆け抜けていきます……。原文を読み直し、訳文を推敲する時は訳抜け以外にどういうところに気をつければいいのでしょう。

J:冒頭で我々が訳文のどこをチェックしているか話したけど、それと同じ。内容を正しく解釈しているか、訳文に矛盾や不具合がないか、読みやすい文章になっているか。
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