【アメリア】対談の部屋 14-3 全米大人気ARGがついに日本初上陸!子どもから大人まで楽しめる 壮大なアドベンチャー・シリーズを訳す
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対談の部屋
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第14回 全米大人気ARGがついに日本初上陸!子どもから大人まで楽しめる 壮大なアドベンチャー・シリーズを訳す

3.トライアルでは、読者層を想定して、ぶれのない翻訳を

――その8名の中から選ばれたのが小浜杳さんと安齋奈津子さんのお二人だったわけですね。

小浜:トライアルのお話は、メールでいただきました。2008年6月4日だったと思います。課題の分量は1章分で、締め切りは1週間後の6月11日。「うわぁ、(翻訳期間が)短いな」と思ったことを覚えています。それから、私事で恐縮なのですが、実は6月23日に初めての出産をしまして、普通だったらお受けできない時期なのですが、“歴史の絡む冒険もので、子ども向けの本”と、大好きなジャンルだったので、どうしてもやりたいと思い参加しました。採用のお知らせは、7月に入ってからいただいたので、その頃には体力も回復してきており、ご迷惑をかけることなく翻訳ができました。

豊田:トライアルが終わったらお母さんになられていたので、本当にびっくりしました。

――お二人を採用した決め手は何でしたか?

三原:8名の皆さんは、それぞれに素晴らしい翻訳だったのですが、特に今回は、調べ物を十分にしていただいているかどうかを一つの基準として選びました。それから、子ども向けの読み物なので、想定するターゲット年齢の読者に対してきちんと理解できるような表現ができているか、という点を見させていただきました。その点で、お二人の翻訳は際立っていました。この方々だったら大丈夫だろうと自信を持って選ばせていただきました。

小浜:ARGについてはまったく知識がなくて、トライアルの条件のひとつに「できればゲーム等に詳しい方」というのがあったので、「マズイ!」と思いました。それでも何とか採用していただきたかったので、「ゲームはあまり詳しくありませんが、調べ物はきちんといたします!」と書いて送りました。

安齋:私も小浜さんと一緒でゲームには詳しくないので、その点では不安でした。トライアルの課題の部分は、主人公の二人が飛行機でパリに着いたところだったのですが、エコノミー席で疲れ切って、時差ぼけのまま、言葉のわからない街に出ていく、という二人の状況が、まさに私がいつもしている貧乏旅行といっしょだったので、その点はラッキーでした。気持ちがよくわかって訳しやすかったです。

一番困ったのは、子どもが読んでわかるかどうか、というところでした。まず漢字表記については見当がつかなかったので、教育漢字を全部調べ、さらに図書館に行って小学3年生から6年生までの読み物でどのように表記されているかを調べました。そして、自分なりにルールを決めて、難しい漢字はなるべく開く(ひらがなで書くこと)ように統一しました。それから、子どもが読んで理解できないと思える事柄が出てきたら、すべて注釈を付けたと記憶しています。

小浜:原書の対象年齢は9歳から12歳という情報は私も知っていたのですが、でも私は安齋さんのように謙虚に従わなかったんです(笑)。最初に読んだときに、これは結構難しいなと思って、それで11歳くらいなら読めるだろうと自分で決めて、それくらいを対象に漢字もけっこう使って、訳者コメントとして「原文がさほど平易ではないため、教育漢字以外も使用いたしました。対象年齢9〜12歳とありますが、小学校高学年以上ではないかという気がいたします。難漢字にはルビが必要と思われます」と生意気なことを書いてしまったんですよね。

三原:そうですね。お二人の訳文は、おっしゃるように対応はまったく違っていたのですが、どちらも非常に読みやすかった。おそらく、それぞれの頭の中に完成型がきちんとあったのでしょうね。想定する子どもの年齢なら、これくらいは読めるんじゃないかと、きちんと考えられていて、ご自身の考えに沿って統一されていました。

――書籍は小浜さん、Webは安齋さんが担当されていますが、その分担はどのように決まったのでしょうか。


三原:小浜さんは、実は以前にも弊社で書籍の翻訳をやっていただいたことがあるとのことでした。一方、安齋さんはWeb版ニュース記事の翻訳実績があるということで、それぞれ実績のある分野をやっていただくことになりました。

小浜:2年ほど前に『ハッピーフィート スクリプトブック』の翻訳を担当させていただきました。ペンギンが主人公のアニメ映画「ハッピーフィート」の全セリフを英日対訳で掲載した本です。これもアメリアから個別に相談を受けたトライアルに合格していただいた仕事でした。

安齋:私がWeb翻訳をしていたのは5年ほど前なのですが、スポーツ雑誌『Number』のウェブ版ニュース記事を担当していました。その後は書籍の翻訳もしており、2008年に初の訳書『男の子の品格』(ゴマブックス刊)が出版されて、このトライアルの時期には『The 4400 オフィシャルエピソードガイド』(AC Books刊)に取りかかっていました。こちらは、アメリアのスペシャルコンテストを受けて翻訳者として採用が決まった仕事でした。
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