【アメリア】対談の部屋 14-5 全米大人気ARGがついに日本初上陸!子どもから大人まで楽しめる 壮大なアドベンチャー・シリーズを訳す
読み物
対談の部屋
<第14回> 全6ページ

第14回 全米大人気ARGがついに日本初上陸! 子どもから大人まで楽しめる 壮大なアドベンチャー・シリーズを訳す

5.書籍とWeb連動だからこそ、同じ世界観を出すことが重要

――Webサイトの方はどのように進めているのですか。


三原:書籍の第1巻を2009年6月に出版し、日本語版公式Webサイトも同時期にオープンしています。安齋さんにはすでに英語版にある数百ページもの記事を翻訳していただいていますが、更新は日本の書籍販売に合わせて、徐々に行っています。

安齋:翻訳に取りかかったのは今年(2009年)の4月くらいからです。Webは書籍との連動なので、まずは小浜さんの原稿を送っていただいて、それを読み込むことから始めました。そのとき、真っ先にやったのが、一覧表の作成でした。このキャラクターはどんな口調を使っているか。普段はこうだけれども、ケンカをするとこんな口調に変わるとか。一人称は「僕」なのか「俺」なのか、あるいは「ボク」「ぼく」なのか。そういうところを全部チェックして、一覧表を作りました。キャラクターのセリフでは、言葉遣いや語尾を変えると印象がかなり違ってきます。Webでの印象が本とは違う、とならないように、すべて書き出すことから始めました。

――では、Webを翻訳する前に、本を何回も読んだのでしょうか。


安齋:はい、そうです。Web翻訳で一番大事なのは、本の世界を崩さないことだと思ったので、翻訳に入る前に何度も何度も読みましたね。

それから、私自身がそうなのですが、Webサイトを長時間見ていると目が疲れて頭が痛くなってきてしまいます。本ももちろん読みやすいことが大前提ですが、それ以上にWebの場合、字面にかなり気をつけて、画面を開いてパッと出てきた文章を見て、読みたくなるような画面であるように気をつけました。

基本的にWebでは短い文章を使うように心がけています。そのために、書籍よりも若干子どもっぽいと思われるかもしれないのですが、それは仕方がないのかなと。ただ、小浜さんが書籍翻訳で作り上げた世界観を壊さないように、私はその世界をそのままコピーさせていただくつもりでWebを訳しました。

小浜さんの翻訳は素晴らしくて、世界観が出来上がっていたので、その点ではとても楽をさせていただいています。

小浜:安齋さんがきちんと一覧表を作って、書籍と矛盾がないようにやってくださっているので、私のほうも本当に助かりました。

――翻訳をしながら、お互いに確認し合うことなどあったのですか?

小浜:それが、お会いするのは今日が初めてなんです。メールでのやりとりもありませんでした。もちろん、訳稿はお互いに読み込んでいるので、その意味ではよく知っているのですが(笑)。

安齋:小浜さんとは、解釈が同じというか、方向性にズレがなかったので、とてもやりやすかったです。トライアルのとき、私は対象年齢を低く設定しましたが、結局小浜さんの提案どおり、高めの対象年齢に合わせて漢字を多く使って翻訳しているのですが、結果的にはそれにすごく助けられました。対象年齢が低いままだと翻訳しづらかったと思います。

豊田:このシリーズの場合は、ストーリーや設定の面白さに引っ張られて、下の年齢の子どもも、ちょっと背伸びをして、わからないところは調べながら、がんばって読んでくれているようです。これをきっかけに、読書もWebでの調べものもどんどん好きになってもらいたい、と心から思います。

――Webならではの仕組みもあると思いますが、訳す時に大変だったのはどのようなところですか?


三原:Webには、本には出てこないような内容も含まれています。例えば、登場人物のプロフィールが細かく出ていたり、登場人物同士のメールのやりとりが掲載されていたり。

安齋:書籍に基づいているところは調べさえすればよいのですが、Web限定の部分が大変ですね。例えば、Webにしか出てこないキャラクターがいたり、書籍には一切出てこないサイドストーリーもあるんです。そのせいもあって、調べ物がかなり多くなります。

例えば、登場人物のプロフィールには、好きな映画や書籍が書かれているのですが、それらは実在するものなので、翻訳する際にはその邦題を調べなければなりません。日本語訳があるものはそれを探して、ない場合はケースバイケースですが、自分で日本語訳をつけてご提案することもあります。その場合はもちろん、編集者向けに注釈を付けて、調べても見つからなかったので私が考えた、ということを伝えます。

前へ トップへ 次へ