林 紀和子さん
産業機械関連の実務翻訳で活躍中
プロフィール
生命科学修士号の取得後、外資系メーカーに就職。生産技術者として化粧品の製造プロセスを開発し、国内外の工場で生産立ち上げに携わる。子育て中に、家事育児と両立しやすい仕事を探して翻訳に思い至り、2か月後には派遣で翻訳業界に飛び込む。働きながら通信講座で翻訳を学び、2016年よりフリーランス。現在は、産業機械や計測・分析機器などの英日翻訳が中心。マニュアル、製品紹介、ソフトウェア、仕様書などを多く手がける。作業現場をイメージすることで、読み手に迷う余地を与えない明快な文章を心がけている。さまざまな翻訳ツールを駆使してエラーを排除し、長い文書でも統一感のある文章に仕上げるのが得意。
工業翻訳では、知識のピースがかみ合って科学的に腑に落ち、訳文がぴったりはまる瞬間を楽しんでいる。科学技術の発展とともにテーマが限りなく広がるため、何十年続けても、きっと新しい発見でワクワクさせてくれる貴重な仕事だと感じている。息抜きはバドミントンとプランター菜園。山に囲まれた小さなまちでおいしい自然を満喫しているが、いずれノマドしながら世界中を転々とするのが夢。
製造現場から実務翻訳へ
加賀山 :今日は、福岡県宮若市でおもに産業機械に関する実務翻訳をしておられる、林紀和子(はやし きわこ)さんにお話をうかがいます。まず経歴ですが、プロフィールには、大学農学部を卒業、大学院生命科学研究科を修了したあと、外資系化粧品メーカーで製造プロセスを開発されたとあります。製品の開発ではなかったのですか?
林 :大学院では遺伝子などを研究しまして、化粧品メーカーに就職したら、白衣を着てお肌のクリームを開発するつもりでいたんですが(笑)、実際には油まみれの作業着でポンプを分解したり、製品が流れるスピードを測ったり、比熱を計算したり、という生産技術職でした。ちょうど私が入るまえの年に、製品開発と生産のあいだを取り持つその部門ができたばかりで、人を集めていたんですね。
加賀山 :たまたまタイミングが合ってしまった(笑)。金属プラントFA計装の社内翻訳もされたそうです。それは同じ化粧品メーカーで働いていたときですか?
林 :いいえ。化粧品メーカーを退職して、塾講師をしたり、出産育児でしばらく仕事から離れたりしたあと、翻訳者になることを思い立ってから、派遣社員として経験した仕事です。「金属プラントFA計装」というのは、金属精錬設備のFA(ファクトリー・オートメーション)で、工場のさまざまな機器をネットワークでつないで製造工程を自動化するシステムです。たとえば、センサーなどの計測装置の測定結果に基づいて、スピードや温度などのパラメータを自動的に調節します。それを海外展開することになったので、日本語の資料をすべて英語にしたのです。
加賀山 :英日ではなく日英の翻訳だったんですね。
林 :そうです。はじめの外資系メーカーで、書類はだいたい英語で書いていたので、特に抵抗もなく、日英/英日は意識していませんでした。とにかく翻訳というものを経験して初心者マークをはずさないといけないと思っていました。2016年1月にその派遣の仕事を始め、1年弱で区切りがついて、フリーランスになりました。子供がまだ小さかったので、最初からフリーランスをめざしていました。
フリーになってからも、そのつてでしばらく仕事がもらえたので、そこからさらに1年くらい、金属関係の日英翻訳をしました。
加賀山 :派遣の仕事は最初から在宅だったのですか?
林 :いいえ。派遣の間は、ずっと会社勤務でした。すぐに周りのITや設備のプロフェッショナルに質問することができて、実物も見せてもらえたのでとても勉強になりました。
加賀山 :その間、お子さんはどうされていました?
青空ワーク。広い公園をひとりじめできてしまうのも地方在住の特権。
林 :保育園です。当初3カ月ほどと言われていたので、フルタイムでもがんばれると思ったんですが、結果的に1年近くまで延びて、たいへんだったので、会社の方と相談して出退勤の時間を調整してもらったりしました。
加賀山 :フリーランスになられたあとは、産業機械を中心とする翻訳を6年、レビューも3年ほどなさっています。レビューというのは、チェッカーのような仕事ですか?
林 :翻訳の後工程という意味ではそうです。レビューのあとに最終工程がありますから、2段階目ですね。翻訳会社によって、チェック、レビュー、校正など呼び方がさまざまですが、求められている作業も、じつは違うことがあります。「好きに直していいですよ」というところもあれば、「完全な間違い以外は手を入れないでください」というところもあります。文書の種類や、各社の最終工程の作業内容によって違ってきているように思います。
加賀山 :いまのお仕事は翻訳会社経由が多いですか?
林 :ほとんど翻訳会社ですが、社内翻訳のときからお世話になっている商社も1社あります。継続的におつき合いがある翻訳会社はおもに2社です。
じつはアメリアには一度入って、契約数が増えたところでやめたんですが(笑)、その後入り直しまして、いま契約している翻訳会社はすべてアメリア経由です。
加賀山 :アメリアの話が出たところで……最初に入会したのはフリーになったときですか?
林 :そうです。できるだけ早く仕事につなげたかったので、信頼性の高い情報を効率よく集めて、スキルアップできる方法を探していて、たどりつきました。そこで、ひとつはアメリア、もうひとつは通信翻訳講座を利用しました。
社内翻訳の仕事を始めてから、情報を集めながら通信講座で勉強を始めて、TOEICを受けたり英検を受けたり、最初の仕事が終わるまでにいろいろ準備をしました。アメリアでトライアルに応募したのは2018年ぐらいからです。
加賀山 :仕事と並行して翻訳の勉強もなさっていたんですね。
林 :派遣のときもフリーランスになってからも、資格の勉強をしたり、通信講座を受けたりしていました。それなりに準備ができたかなというところで、アメリアからトライアルに応募したのです。
加賀山 :アメリアに入ってとくによかったことは何でしょう?
林 :プロフィールを公開できることですね。結局、自分からトライアルに応募したところよりも、私のプロフィールを見て声をかけていただいたところのほうが、いまも仕事が続いています。
自分でいいと思って応募して合格しても、契約後にタイミングや条件が合わずに続かないことがありましたが、プロフィールを見て連絡していただいた場合には、もともと先方の要望とマッチしていたからか、継続して依頼があって、ありがたかったですね。
加賀山 :アメリアはいまも情報収集に役立っていますか?
林 :はい。仕事が増えてくると、だんだん勉強をしなくなりますので、アメリアの会報がとくに役立っています。時間があるとつい技術系の本ばかり読んでしまうのですが、会報が毎月届いて手元にあると、読みますから。定例トライアルの解説をお風呂で読んだり(笑)。映像も出版も頭の中で訳しながら、すみずみまで読みます。
私はかなりパソコンに頼るタイプで、検索ツールをめいっぱい駆使して時間と戦っていると、頭の使い方がかたよってきますから、ときには紙の資料だけを見て頭の体操をするようにしています。会報には、翻訳業界の傾向とか、訳しにくい英語などの情報もあって、参考になりますね。
さまざまなツールを駆使して訳文をブラッシュアップ
加賀山 :プロフィールに「ポストエディット可」と書かれていますが、ポストエディットは最近増えていますか?
林 :増えています。というか、2018年頃に私が翻訳会社とお仕事を始めたときには、もう会社によっては日英も英日もほとんどポストエディットというところもありました。
ただ、私がいまお世話になっている翻訳会社は2社とも、どちらかというと翻訳やポストエディットよりレビューを重視されているようで、レビューの仕事が増えてきました。報酬もレビューのほうが高いので、引き受けやすいということもあります。
加賀山 :レビューのほうが高いんですか?
林 :レビューでは、だいたい翻訳の3倍のスピードが求められますが、単価で翻訳やポストエディットの4~5割いただけるので、私の場合はレビューの方が収入が上がります。
工業翻訳でのポストエディットの話に戻りますと、実際ポストエディットされた文書のレビューをすることが多いですし、求人情報を見てもポストエディットの募集が増えているように思います。それに、この数年だけでもポストエディットの精度が上がってきていると感じるので、今後も間違いなく増えていくと思います。ただ、私自身はポストエディットがだんだん減って、翻訳とレビューが増えています。もう割合としてはレビューが半分以上かもしれません。
加賀山 :仕事のペースはどんな感じですか? 納期などは?
辞典は串刺し検索できる電子版が中心。自分で裁断+OCRして電子化することも
林 :いろいろです。いちばん短ければ3時間ぐらいとか(笑)
加賀山 :そんなに短い!
林 :600ワードを朝10時にいただいて、昼の2時までにお願いしますとか。長期案件を中断して小さい案件を入れ込んだり、1日に2件の締め切りが重なったりすることもあります。
逆にいちばん長いものでは、分厚いマニュアル1冊で2カ月ほどというのがありました。そのくらいの分量だと、ふつう複数の翻訳者に振り分けられると思いますが、そのときはたまたま納期に余裕があったのか、私ひとりで全部訳すことになりました。
加賀山 :ひとりのほうが全体を見られていいですよね。
林 :そうですね。内容もつかみやすいですし、ペース配分もできますから、本当にありがたいです。仕事がなくなるかもという不安からもしばらく解放されます(笑)。
加賀山 :長いものは、お金が入ってくるまでが遅くなりますけど(笑)。先ほど翻訳支援ツールの話が出ましたが、プロフィールに書いておられる「TM」というのは何でしょう?
林 :Tradosなどの翻訳支援ツールで根幹となるファイルで、「トランスレーション・メモリー」です。そのクライアントで過去に翻訳された文がたくさん保存されていて、いま自分が訳したものも保存しながら活用します。
加賀山 :クライアントごとにまとまっているわけですね。
林 :だいたいそうです。大きなクライアントだと、文書の種類や機械の種類ごとに分かれている場合もあります。たとえば、あるメーカーの過去のマニュアルなどが全部入っているTMを翻訳支援ツールに設定すると、翻訳しようとしている文に似た既存の訳文が自動的に表示されて、ある単語が過去にどう訳されているかも検索できます。これを訳語検索と言います。TMとは別に、クライアントが使ってほしい用語が指定されている用語集のファイルを同時に設定することもあります。
加賀山 :Xbenchというのは?
林 :Xbenchはまた別のソフトで、検索と品質管理に特化しています。もちろんTradosなどの支援ツールでも訳語検索、用語検索はできますが、画面が狭くなって見にくいので、私はXbenchを別の(Windowsで簡単に切り替えができる仮想上の)デスクトップに広げておきます。そこに翻訳中のファイルやTM、用語集などを設定しておくと、全ファイルを一気に検索できます。スクロールしなくても15件ほど表示されて、訳語がばらついているときはそれぞれの件数や文脈を簡単に調べられるので、既存訳から適切な訳語を選びたいときにとてもはかどります。
品質管理では、たとえば、すべて大文字の単語(ERRORなど)やキャメルケースの単語(PressureLowLimitなどスペースが削除された複合語)は、わりとそのまま日本語の訳文でも使いますが、大文字小文字や綴りの間違いも検出してくれるので便利です。
それから、自作の単語集を作れるので、登録した訳語と違ったときに「指定された訳語が使われていません」というふうに指摘してくれます。たとえば、マニュアルでは、上・下・左・右がたくさん出てくるので、それらを登録しておくと、間違ったときにわかります。ただ、rightを「右」で登録すると、「正しい」と訳したときに誤りとされるので、少し工夫は必要なんですが……。
加賀山 :Xbenchは市販のソフトなんですね?
林 :市販のソフトですが、検索用にするなら機能が制限された無料版でもけっこう使えます。ただ、対応しているファイルの種類や型式が限られるので、Trados以外の支援ツールのファイルを使用したい場合や、しっかり品質管理したい場合は有料版がおすすめです。
加賀山 :私も訳語がばらつきますから、そういうソフトを使えば便利だなと思いつつ、何もしていない……。
林 :出版翻訳ですと、同じ事柄を言い換えることで情報を補足したり、ハッとさせられたりというところがあって、そこがおもしろいのですが、実務翻訳、とくにマニュアルなどでは、訳語が統一されていないと読みにくくなってしまいますね。
加賀山 :たしかに。Wordマクロはどういうふうに使っていますか?
林 :「蛍光と対策」という翻訳者の方が無料公開しているマクロがありまして、それを使わせてもらっています。基本的には用語の検出です。Excelの設定ファイルに検出したい用語を入れておいて、Word上で実行するとすべて色づけしてくれます。たとえば、カタカナ語で「センター」について、音引きのない「センタ」をハイライトするように登録できます。用語以外ではデフォルトで便利な設定が用意されていて、全角の英数字や不要なスペースなども同時に検出させることができます。
医薬系は日英、工業系は英日翻訳が多い
加賀山 :いまのお仕事の内容について、もう少しうかがいます。医薬関連の翻訳もなさっていますが、工業と医薬の割合はどのくらいですか?
林 :8~9割が工業で、機械設備関連です。もともと専攻が農学、生命科学系でしたから、医薬のほうがいい仕事ができるのではないかと思って通信講座も受けましたが、医薬関係の依頼は英訳が多かったんですね。両方やってみると、英訳は和訳より時間がかかることがわかってきて、全部英訳にすると収入が半分になってしまう……(笑)。楽しいけどそれでは困るなということで、いま英訳は、あまり時間のかからない、定型文が多いものや内容的に難しくないものにしぼってお受けしています。
加賀山 :医薬系が日英、工業系が英日翻訳なのですね。扱う工業設備の内訳として、測定/分析装置、製造機械、運搬機械、建設機械などをあげておられますが、仕事が多いのはどれでしょう。
林 :多いのはセンサーなどの計測装置と半導体製造あたりです。ただ、多いといってもせいぜい1割程度で、本当にさまざまな種類があります。
加賀山 :どれかに偏らずに、なんでも来るという感じなんですね。
林 :そうですね。同じクライアントでもひとつの機械ばかり作っているわけではないので。いつも違う機械ですから、いつも勉強です(笑)。
加賀山 :機械の種類も違うし、媒体もマニュアル、カタログ、ウェブ製品紹介というふうにいろいろですか?
林 :はい。多いのはマニュアルと製品紹介です。それからデータシートやユーザーインターフェース(機器やコンピュータ上に表示されるメッセージやパラメータ名など)が続きますが、文脈が乏しいので難易度が高めになることが多いです。ほかには、少しマーケティング翻訳寄りになるニュースレターやインタビュー、会社紹介などがあります。
日々趣を変える夕焼けで、つかの間のリフレッシュ。
加賀山 :経歴には「福祉機器の学術論文」もあります。
林 :それはちょっとおもしろい案件で、個人で論文博士号を取りたい方がいらっしゃいまして、その論文を英訳するサポートを2年ぐらい、二人三脚でやりました。たんに英訳するだけでなく、文字数を大幅に削るために内容の変更を相談したり、ジャーナルのスタイルガイドを探してレファレンスの書式を変えたり、苦労しました。
加賀山 :これはいまも継続中なんですか?
林 :いいえ、ちょうど年明けに終わりまして(笑)、めでたく博士号を取得されました。3本目の論文がついにアクセプトされて、本当に安心しました。
加賀山 :よかった! 「IRB書式」というのは何でしょうか?
林 :Institutional Review Board、治験審査委員会の略です。治験の定型の書式が十何種類かありまして、私としても英訳の中では得意分野です(笑)。
現場をイメージして「伝わる」訳文に
加賀山 :生物系の修士号も取得されましたから、別の職業を考えることもあったかと思います。翻訳を始めたというのは、やはりどこでもできるからということが大きかったのですか?
林 :そうですね。あとは、生物系、工業系、塾講師など、それまでの経歴が全部活かせるような気がしましたので。
塾で教えるときには、対面で相手のリアクションを見ながら、相手に合わせたやり方で伝えますが、翻訳も「伝える」仕事です。しかも相手がどんな人か、ざっくりとしかわかりませんから、誰にでも簡単にわかるように伝えなければいけない。なおさらチャレンジングでおもしろそうだと思ったんです。
一度提出した訳文はひとり歩きしていくので、それまでにできるだけのことをして送り出すという、難しくて終わりがなくておもしろい仕事だと思いました。
加賀山 :最初に翻訳を考えたのは、化粧品メーカーに勤めておられたころですか?
林 :いいえ。塾講師を経て少し無職の時期があったあとです。子育てをしながら続けられる仕事として興味を持ちました。翻訳はどこでもできるという話ですが、じつは2020年には移住を考えていました。フィリピンにお試しで2週間ほど滞在してみて、子連れでも住めそうだったので、家の賃貸も解約して準備を進めていたら、コロナが始まって行けなくなりました。
そこで、家電などがすべて備えつけの物件を探して、いまの宮若市に来たんですが、住んでみてとても気に入りました。目のまえが田んぼで夕焼けがすごくきれいです(笑)。
加賀山 :最終的にはまた移住を考えておられますか?
林 :私は移住したいんですが、子供に抵抗されています(笑)。子供が高校を卒業したら、ノマド的に働きながら世界中を転々としたいです。
宮若市の田園風景。水源豊かで、古くは宗像大社の「神田」。
加賀山 :翻訳でこれから進みたい分野はありますか?
林 :まだまだ駆け出しで勉強中ですが、工業関係は続けて、できれば今後掘り下げて得意分野を作りたいと思っています。これからも製造工程の自動化は進んでいくでしょうから、センサー、オートメーション、半導体などを考えています。それから、電気関係の話でひっかかることが多いので、そこも少しずつ勉強しています。
あとは、最近需要が増えている動画関連が気になっています。昔はネットでも文章を検索するのが主流でしたけど、いまは若い世代を中心に動画を検索することが増えていますし、企業もたくさん動画をあげて情報提供するようになりました。技術系の映像翻訳で、字幕に言葉を取捨選択して入れていくのもおもしろそうだと思っています。
さらに、憧れとしては出版がありますね。サイエンス系のノンフィクションとか、いつか訳せるといいなと。
加賀山 :サイエンス系はけっこうヒット作が出ますからね。工業系の翻訳はどうやって学べばいいんでしょうね?
林 :私の場合には、実際に製造プロセスを作っていましたし、いろいろな工場を歩きまわって機械の動きや製品の流れを確認したり、機器の操作画面を触ったりしましたが、そういった経験がないと、操作がイメージしづらくてたいへんだろうなと思います。ですから、現場の経験がない方には、メーカーの社内翻訳はおすすめです。現場を見たり技術者と話したりするチャンスがあるかもしれません。
もっと初歩からであれば、子供向けの図鑑や解説書ですね。大人向けにも「やさしい電気回路」のような入門書がたくさん出ていますが、それでも基礎知識がないと難しいんです。そういうときに、ジュニア向けの本を読むと、カラフルで図が多く、とてもわかりやすいです。大人向けとは違う切り口で説明されていて、なるほど!と思うこともあります。
あとは、製品のイメージが湧かないときに、よく動画で調べますね。マニュアルの中にも「ストーリー」はあるので、イメージがないと、そのストーリーからはずれたおかしな言葉を使ってしまいます。動いている機械をたくさん見て、自分が組み立てや操作をしているつもりで翻訳できれば、「さっき取っておいたボルトどこにいった?」とか「最初の説明とつじつまが合わない」とか、訳抜けや誤訳に気づきやすくなりますし、最終的にしっかり読み手に伝わる文章が書けると思います。
■産業機械関係の翻訳という、これまで話をうかがったことのない分野で、ツールの活用も含めて興味深いし、勉強にもなりました。ついでに、自分がノマド的に海外で働くならどこがいいかなあ、などと想像も広がりました。