アメリア会員インタビュー

幼いころの楽しみは「科学センター」

加賀山 :やはり子供のころから科学に関心があったのですか?

片神 :故郷の京都市内の科学センターによくかよっていました。市内の子は入館無料だったので。

加賀山 :それはうらやましい。

片神 :それがきっかけで大人向けのポピュラーサイエンスの本を読んでいました。もちろん、図書館や本屋にもよく行きました。昔から本が好きで、ファンタジー以外はなんでも読みました。ファンタジー系は苦手だったのですが、大人になってから読んで、子供のころもっと読んでおけばよかったと思いました。

加賀山 :科学関連の出版で流行のようなものはあります?

片神 :いまはバイオテクノロジーと人工知能(AI)ですね。大人向けの本だとどんどん重版がかかっていたり。固定客というか、出るとかならず買ってくださる読者がいるようです。

加賀山 :売れるものは驚くほど売れますよね。これからは大人向けもやってみようと思われませんか?

片神 :興味はあるのですが、いまはレギュラーの仕事も入っていますし、作業時間をうまくやりくりしないと、幅を広げるのはむずかしそうです。

加賀山 :翻訳の学習歴についてもう少し聞かせてください。

片神 :何から手をつけていいかわからなかったときに、実務翻訳会社の通信講座を6カ月受けました。成績優秀者に認定されて少し自信がつきました。あとは勉強会で1年ほど学んだのと、じつはいまも地元のカルチャーセンターで、ある先生の講座にかよっています。始めて5年ほどになります。フィクションの翻訳の講座なのですが、ノンフィクションでも物語的な箇所はあるので、参考になることが多々あります。
 この仕事は家でずっとパソコンに向かっていることが多いのですが、そういう機会に人と顔を合わせるのがすごく大事だなと思います。
 また、サイエンス誌などの専門家向けの文章と、子供向けの文章はまったくちがっていて、自分のなかで互いにいい影響を与え合っていると思います。

加賀山 :子供向けの科学書の仕事はこれからも続けたいですか?

片神 :ライフワークとして続けていきたいですね。日本のこの分野では、低学年をすぎると、中高生からはもう大人向けの新書や専門書などを読みはじめるので、中高生向けの翻訳書が少ないのです。あちらではペーパーバックでたくさん出ているので、今後それらも紹介できればと思っています。
 小学校低学年向けのものは、日本は非常に充実していて、海外に輸出できるほどです。

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