アメリア会員インタビュー

「前のめり」でやってみよう

加賀山 :日課のようなものはありますか?

片神 :仕事は朝の9時から夕方5時までにして、あとはいろいろな学習、と決めています。毎週金曜から日曜は、サイエンス誌の仕事にあてます。それから週に1回、ピラティスのクラスにもかよっています。日頃から目や腰を大切にするよう心がけています。
 美術展にもよく行きますし、バロック音楽のコンサートにも出かけます。

加賀山 :そう言えば、音楽に関する訳書もありましたね(『科学キャラクター図鑑シリーズ:音楽 音を楽しむ!』)。

片神 : 音の周波数など、音楽を科学的に解説した本で、音符が自己紹介して説明してくれます。

加賀山 :調べ物はどうされていますか?

片神 :インターネットが中心です。最新の科学に関する内容だと、まだ参考になる書物も、ネットの情報も出ていない場合があるので、調べるのがたいへんです。読者からまちがいを指摘されて、恥ずかしい思いをしたこともありました。

加賀山 :最新の科学論文などは、そういう意味でもむずかしいでしょうね。

片神 :内容のむずかしさもさることながら、情報の漏洩にはとくに気をつけなければなりません。

加賀山 :いま翻訳を学んでいるかたたちにアドバイスをいただけますか?

片神 :この分野にかぎらず、最初は「怖いもの知らず」でいろいろ挑戦したほうがいいですね。私の場合、ナショナルジオグラフィック誌で仕事をするようになったのは、直接先方に連絡をとったからですし(現在こうした採用方法はとっていません)、サイエンス誌の仕事をいただけたのは、もともとメールマガジンを読んでいて、それを通して知ったトライアルに挑戦したからでした。ちょっと自分には無理かなと思うような場合でも、翻訳を送ってみたり、履歴書を提出したり、こちらから積極的に仕掛けることが大事だと思います。何がきっかけになるかわかりません。「前のめり」でやってみることだと思います。

加賀山 :前のめり──見習いたい姿勢ですね。

■私自身あまり知らなかった子供向け科学書の分野で、非常に興味深い話をうかがうことができました。下訳のころから仕事が途切れなく来ているというのは、実力の証ですね。将来を担う子供たちのために、今後も楽しくてためになる本を訳していってください。

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