
岡田:若いころからずっとゲームがお好きだったようですね。
武藤
:ゲームが好きかといえば、うーん……。若いときにやり過ぎたせいで、20代はゲームのせいで人生を無駄にしたような罪悪感と後悔がありました。だから正直、ゲームが好きかどうかというと、ちょっと複雑な思いがあるんです。
岡田:どれほどゲームを?
武藤
:僕はゲーム世代だったので、小学校高学年から中、高、大学、20代。青春を犠牲にするくらいです(笑)。高校の学園祭とか、まるきりさぼって家でゲームをしていた。ゲームの知識はあったので、何か生かす道がないかなと漠然と思ってはいたんですが……。
岡田:開発とかは?
武藤
:それも考えましたが、自分はプログラミングするタイプではなかった。あまりにもゲームで時間を無駄にして、もうやめたいと思っても悪縁なのかやめられず……。ずっとモヤモヤしていましたが、ゲーム翻訳をすることで報われたように思います。人生、無駄になることはないなと実感しています。
岡田:後悔を見事に昇華されましたね。ゲーム少年時代の経験はゲーム翻訳に生かされていますか?
武藤
:それがほぼすべてといってもいいかもしれません。感覚がいかされていますね。ゲームの中のお約束を感覚として知っているので、原文にない情報でも流れが読めたりします。ゲームをやらなくても、どういうゲームなのかわかったりしますから。
岡田:それはご経験がフルに生かされていますね。
武藤
:運がよかったなと思います。昔はやりたくないのにゲームに引きずられて、時間を無駄にしている罪悪感があったけど、最近は仕事のひとつとしてプレイできるので精神衛生的にも良く、ゲームとニュートラルに付き合えるようになりました。
岡田:なにごとも集中して、100パーセント夢中になると、どこかに結びついていくのかもしれませんね。
武藤
:つながっていくというのはありますよね。つなげていくということもできる。僕はゲームのやりすぎで、ほとんどひきこもりみたいな生活をして、悔やんだこともあったけど、今はこういう形でつながってよかったと思います。ゲームに限らず、好きなことを生かせる道はあると思います。なにかに夢中になるって、その人に与えられた一種の才能なんじゃないかなと思うんです。エネルギーも必要ですから。いろいろなことをやってみて、その結果やっぱり夢中になれる好きなことがあるとしたら、それはその人に与えられた才能、縁なんじゃないかなと思います。必要とされた道なのかもしれませんね。