アメリア会員インタビュー

大学ではヒンディー語を専攻。同時に英語の翻訳学校で映像翻訳を学び始める。卒業後はすぐにフリーランス翻訳者として独立。

岡田 :ヒンディー語と英語の両方の映像翻訳のお仕事をされている藤井さんですが、そもそもの語学の習得はどのように?

藤井 :ヒンディー語は大学で専攻して学びました。英語は中学校までABCも知りませんでしたが、最初に教わった先生の教え方がよかったせいか、すぐに外国語の魅力に取りつかれてすすんで学ぶようになりました。高校時代に1年間カリフォルニアへ交換留学に行き、本当は大学も海外留学をしたかったんですが諸事情でかなわず……。英語の翻訳は大学在学中に翻訳学校に通って映像翻訳を学びました。

岡田 :とおっしゃると、大学でヒンディー語を学びながら、英語の翻訳の道に?

藤井 :そうです。欲張りですね(笑)。

岡田 :熱心な学生さんですね! すごいバイタリティーです。そもそも大学でヒンディー語を学びたいと思ったきっかけはなんだったんですか?

藤井 :本当はフランス語を学びたかったんです。私は高校の頃からとにかく映画が大好きで、当時はフランス映画をよく観ていたものですから……。アルバイトをしながら勉強して受験に備えましたが、もしも落ちたらもうチャンスがない。万一落ちたらたいへんなので、フランス語学科より合格しやすそうな学科も受けることにしたんです。いつかは映画関係の仕事につきたかったので、映画の盛んな国を考えて東京外国語大学のヒンディー語学科を選びました。

岡田 :インドは映画製作数が世界有数とおっしゃっていましたからね。

藤井 :そうです、世界トップクラスの製作数。きっと映画の仕事に結びつくことがあるだろうと思い挑戦しました。受験の結果、私立大学にもいくつか受かりましたが、国立大ということもあり、外語大に入学してヒンディー語を学び始めました。

岡田 :それでは当初はヒンディー語ありきではなく、映画関係のお仕事をしたいという気持ちが強かったんですか?

藤井 :そうですね。受験当初は漠然としたものだったように思います。でもだんだんと卒業後のことを考えて、自立して手に職をつけるために映像翻訳のスキルを身につけたいと思うようになりました。そこで大学1、2年の頃から英語の翻訳学校に通いはじめて、映像翻訳の勉強をスタートさせたんです。

岡田 :学生の頃からしっかりしたビジョンを持っていたんですね。それにしてもいきなり開けたインド世界への扉。ヒンディー語の習得はいかがでしたか?

藤井 :扉なんて、最初はちっとも開いてくれませんでしたよ(笑)。文法などの学習中は、「これがいつまで続くんだろう」って思いながら勉強していました。でもこれを乗り越えないと何も見えてこないんだろうなと、そんな気持ちで勉強し、少しずつ身につけていきました。映画をしつこく何度も繰り返し観たりもしました。

岡田 :一からの学習は大変でしたね。大学卒業後はどのような道を?

藤井 :卒業する頃から、運良く英語の字幕の仕事をスタートすることができたんです。すごく競争率の高い世界ですから、「生きていくのはたいへんだなぁ」と思いながら(笑)、アルバイトをしつつフリーで働きはじめました。ヒンディー語の映像翻訳をすることは卒業時には考えていませんでしたが、年に1回くらいはなにかしらあったように思います。映像翻訳の世界でがんばっていけるなら、ある日あきらめがつく日まではとにかくがんばろうと決心しました。

岡田 :卒業と同時にフリーランスでお仕事とはすごい! そこから本格的な翻訳のキャリアがスタートしたんですね。