アメリア会員インタビュー

子育て中は時間のやりくりに苦戦。将来的な方向性を考え、軌道修正の決断も。

岡田 :大学卒業後、順調にフリーランスへの出だしを切ってから、15年以上翻訳のお仕事をされている藤井さん。今は子育てをしながらのお仕事ということですが、在宅ワークと子育ての両立はいかがですか?

藤井 :今は子どもが小学生になったので、以前に比べればだいぶ楽になりました。でも子どもが小さいうちはほんとうにたいへんでしたね。いまだに思うけど、仕事よりも小さな子どもの子育てのほうがたいへん(笑)。赤ちゃんを抱えての仕事は思うようにいかないことの連続ですから。

岡田 :産後どれくらいでお仕事に復帰されたんですか?

藤井 :3ヶ月目くらいだったと思います。フリーランスなので産後だからといって何ヶ月も仕事を休むのは不安がありました。そうは言っても生後2ヶ月くらいはいろいろとたいへんだろうと思い、3ヶ月めくらいから仕事を請け始めたんです。でも現実は……考えが甘かった(笑)。「赤ちゃんは3ヶ月くらいしたらよく寝る」って聞いていたのになかなか寝なくて……。でも焦っても悩んでも、請けている仕事は必ず終わらせなければならない。クライアントの信用は得るのも大変なことですが、一度失った信用を取り戻すのはもっと難しい。だからなんとか時間をやりくりしながら仕事していましたね。昼間は子どもにとことん付き合って、夜8時くらいに一緒に寝て、夜中に起きて朝まで仕事、というような生活を何年間も続けたように思います。

岡田 :それは体力的に厳しい生活ですね。世間では「在宅ワークは子育てママにとって理想」のように言いますが、子育てをしながら締め切りに追われる生活はタフでないと難しそうです。

藤井 :今思えば産後の躁状態でできたんじゃないかなと(笑)。今はそこまでできるかどうか疑問です。そうそう、当時は体力的にきつかったのもありましたが、仕事の方向性でも悩むこともありました。

岡田 :方向性というと?

藤井 :その頃、レギュラー番組の仕事を続けていたんですが、それがスポーツ系の番組だったんです。定期収入になり、本当にありがたかったんですが、私は個人的にスポーツ系の道を極める意志がなくて……。悩んだ末、先を考えてレギュラーを外していただき、ドラマなどの仕事をいただけるよう軌道修正する決心をしました。でも仕事が減った時期があり、もうダメかと思うことも……。その頃は30代でしたが、もし40歳になっても先が見えなかったら、仕事を考え直さないといけないかなと思うことがありました。あきらめることも必要かな、と。そんな頃にアメリアの会員になって、求人欄を通じてトライアルを受け、SFのドラマシリーズや字幕製作のディレクション的なお仕事などをいただけるようになりました。そのうちにヒンディー語の映画も注目を浴びるようになり、だんだんと軌道修正されてきた感があります。

岡田 :なるほど。子育てをしながらキャリアの思い切った軌道修正はストレスもあったことと思います。

藤井 :そうですね。当時は悩みました。でも今はそこで軌道修正しておいて本当によかったと思っています。進みたかったのはドラマや映画といった映像翻訳でしたから。吹き替えのテクニックも磨きたくて、フェロー・アカデミーの吹き替えのクラスに通った時期もありました。

岡田 :すでに翻訳のキャリアがあるのに、さらに学んで磨きをかけたんですね。ヒンディー語の翻訳と英語の翻訳、そして子育てと吹き替えの講座。お忙しいながらも充実した時間を過ごされてきたのがわかります。