アメリア会員インタビュー

母校でインド映画の上映会を企画運営。「続けていくことで見えてくる世界があると思います」

岡田 :翻訳の仕事に子育てと、多忙な毎日をお過ごしの藤井さん。今後のビジョンを教えていただけますか?

藤井 :やはり今後も英語の字幕、吹き替え翻訳はしっかりと向き合っていきたいと思っています。一生の仕事にしたいと思って始めたことなので、丁寧に着実に続けていきたいです。そしてもちろん、ヒンディー語の翻訳にも力を注ぎ、映画を通じてインドを紹介できればいいなと思っています。そうそう、じつは今、母校でインド映画上映会を開催予定で、そのコーディネートもしているんですよ。

岡田 :上映会のコーディネートですか。それはすごい。

藤井 :お世話になっている方から声をかけていただき、東京でもインド映画の紹介をしていこうという話が持ち上がりました。ホールを借りて、上映会のような形で開催できればいいなと。インドの映画には、商業映画だけでなくアートフィルムやドキュメンタリーなどたくさんのすばらしい作品があるんです。でもそれが日本で紹介されることは残念ながら少ない。なんとかして今のインドを見て欲しいなと思い、企画や字幕翻訳を進めています。今はそのイベントが楽しみです。

岡田 :そのお仕事ができる方は限られていると思います。まさに日本とインド文化の架け橋ですね!

藤井 :そうなれるといいですね。ヒンディー語の映像翻訳もここまで続けてきましたから、責任というか、どこか役割としてやるべきこともあるのかなと思っています。

岡田 :数少ないヒンディー語字幕翻訳者としての社会的役割にはプレッシャーもあるかもしれませんが、藤井さんにしかできないお仕事がたくさんあると思います。最後に、翻訳学習中の読者のみなさんにメッセージをいただけますか?

藤井 :私から言えることは……「あきらめないこと」でしょうか。「もうだめだ」とあきらめかけても、続けていくことで見えてくる世界があると思います。翻訳力にしても、しつこくしつこく学び続けることで何かが開いてくると思います。私も20代でわからなかったことが30代で、30代でわからなかったことが40代になってわかってきました。翻訳のテクニックというより、なにかもっと深いところがわかっていなかったんだろうなと思うようになりました。長い時間をかけて、あきらめずにがんばってほしいと思います。

岡田 :藤井さん、ありがとうございました。これからも英語とヒンディー語の映像翻訳者として、そしてインドと日本を結ぶ架け橋として、ますます羽ばたかれることと思います。ますますのご活躍を楽しみにてします。ナマステ!

■翻訳、子育て、上映会の企画などをマルチにこなす藤井さん。やさしい陽だまりのようなあたたかさの中にも、意志をつらぬく芯の強さを感じる素敵な女性でした。インド映画の見方のポイントも知り、楽しみがまたひとつ増えました。今日はさっそくDVDをレンタルしてきます!