アメリア会員インタビュー




海辺でリフレッシュして、また翻訳!

坂田:出版社のある東京から遠く離れた沖縄在住で、また翻訳の仕事は今回が初めてという状況でしたが、無理なくお仕事は終えられたようですね。

藤沢:翻訳の仕事は、インターネットがあればできると思います。ただ、ジャンルや案件によっては資料を集めたり、校正をやり取りするのにより便利な場所が限定される場合もあるかなとは思います。住んでいる場所や環境を活かせるジャンルの仕事ができたら、最高ですね。

坂田:沖縄で翻訳の仕事をするというのは、どのような生活スタイルになるのでしょう? 1日のスケジュールも教えてください。

藤沢:翻訳も、インターネット調査員も、長時間コンピューターに向かっている仕事なので、その意味では東京でも沖縄でも同じですが、東京での生活とは気分的にまったく違いますね。外とのつながりを保ちながら引きこもれる、とでもいいましょうか。沖縄にいらしたことがある方はおわかりになると思うのですが、時間の感覚が東京にいるのとはかなり違うのです。精神的なバランスを取りながら仕事をするには、もってこいの環境だと思っています。例えば、東京では友達に会うのに電車に乗ったりなんだりで、1日がかりでした。今は、仕事の合間に犬を飼っている友人と一緒に散歩に出かけて、帰ってきてまた仕事の続きをしたりします。車で5〜10分のビーチで犬と遊びながら夕陽を見て帰ってくるだけの2時間の外出でも、いまだに沖縄に旅行した気分になりますから、リフレッシュが手短になったということでしょうか。普段は午前中に起きて食事をしてから夕方まで仕事をし、外が涼しくなったらドライブがてら散歩や買い物に行って、一休みします。忙しいときは深夜か明け方まで仕事をしますが、週に1日はできるだけ仕事を忘れる日を作って、遊ぶようにしています。家事もなく、丸々1日遊べる時間ができたら、釣りに行きますね。近場の防波堤や磯で海を眺めてぼーっとしつつ、釣れたら晩のオカズに…と結構本気で考えています。ま、釣れないんですけど(笑)。

坂田:沖縄での生活は、ストレスとは無縁のようですね。

藤沢:私が住んでいるのは那覇市の隣の市で、一応住宅街なので本島北部や離島ほど自然には囲まれていませんが、見晴らしのいい公園や海はすぐ近くにあるし、那覇の中心部ほどゴミゴミはしていません。冬場にブーゲンビリアが咲き乱れていたり、どこからともなく三線の音が聞こえてきたりする環境です。こちらの生活では、ストレスはほとんどないですね。ストレスを一番感じるのは仕事が途切れたとき(笑)。それでも東京にいたときのような切迫感や焦燥感に苦しむことはないですし、解消する方法も身近なところにたくさんあります。東京で仕事をしていたときは、ある程度のストレスがあるのは当たり前だと思っていたので、とくに悩まされることもなかったのですが、今考えるとやっぱり感じていたんでしょうね。満員電車とか、時間とか、街を歩く時の緊張感とか……。がんばってもがんばっても、どこかで「もっとできるはずだ!満足するな!」っていう声が聞こえていたような(笑)。それ自体はいいことでも、追われる気分になるのは好ましくないし、性格的にも合わないんだと思います。最近はそんな声が聞こえても、「おっけー、じゃ次はもうちょっとやってみるよー」と軽く自分に言い返しています。だいぶ気が楽になったのは年を重ねたせいじゃなく、沖縄に来たおかげだと信じています(笑)。

坂田:最後に、今後の目標を教えていただけますか。

藤沢:英語圏の文化に関連した仕事を続けていきたいですね。今回のような連続ドラマもそうですし、映画やポピュラー・ミュージック、文学、アート等々。学習と実際の仕事を通して、出版でも映像でも通用する翻訳力をつけていきたいと思っています。夢というほどではないですが、俳優やアーティスト、ミュージシャンの伝記や半生記を訳す機会に恵まれたら、おそらく寝食を忘れて打ち込むと思います(笑)。いつかやってみたいですね。

坂田:素敵な目標ですね。ぜひ頑張ってください。今日はどうもありがとうございました。

気に入った土地で、ストレスを感じることなく生活できるなんて素敵ですね。そして、翻訳という仕事がそんな生活にぴったりだということを、藤沢さんが証明してくれているように思いました。ストレスなく訳した文章は、のびのびとしていて読んでも気持ちいいのでは、そんな気もします。これからもご自身の大きな目標に向かって頑張ってください!
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