アメリア会員インタビュー


高取 芳彦さん

第101回

焦らず、地道に翻訳学習を続け フリーターから報道翻訳者へ高取 芳彦さん

Yoshihiko Takatori
モニタリング機関に勤め 会社員として報道翻訳に携わる日々

濱野 :本日のゲストは、報道・ニュース翻訳の分野で活躍されている高取芳彦さんです。高取さんは、企業内で報道翻訳に携わっていらっしゃるんですよね?

高取 :はい。〈ラヂオプレス〉という一般財団法人の編集部・英語係で主要業務としてニュースを翻訳しています。今年で5年目です。

濱野 :〈ラヂオプレス〉というのは初耳です。どのような業務を行なう組織なのでしょうか?

高取 :1946年に設立された「モニタリング機関」で、いわゆる「通信社」の仕事もしています。外国の国営メディアが公の電波で放送しているラジオやテレビ、あるいは通信社のネット配信のニュースなどをモニタリングし、必要な情報を取捨選択して、翻訳・編集した記事を官庁や報道各社などに配信します。「モニタリング機関」というと日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、主要国では国の機関として置かれていて、イギリスの〈BBCモニタリング〉、アメリカの〈オープンソースセンター〉(OSC)などでは日本よりも大きな規模でモニタリング業務が行なわれています。

濱野 :はあー、そんな仕事があること自体、まったく知りませんでした。〈ラヂオプレス〉では、どんな国のニュースを扱うことが多いのですか?

高取 :新聞やテレビでは北朝鮮関連のニュースで引用元として社名が出ることが多いです。ほかには、中国、ロシアを現地語で、東南アジア、中央アジア、中・東欧を英語でカバーしています。私は英語係の配属なので、現地メディアが英語で発信した政治や経済に関するニュースを選別して、日本語に翻訳するのが主な仕事です。

濱野 :とほほ……今日は知らないことばかりです。高取さんは、どの地域の担当なのでしょうか?

高取 :ベトナム、ラオス、カンボジアの3カ国を担当しています。モニタリング・翻訳の対象は各国の国営通信がウェブサイトやメールで配信した文字ニュースが中心ですが、ベトナムの〈ハノイ放送〉や〈BBC〉〈ラジオ・オーストラリア〉など、ラジオ放送の内容を記事にすることもあります。

関連する会員インタビュー
実務翻訳