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情報誌・コラム
アメリア会員インタビュー
中 純子さん
坂田
:やはり、翻訳の仕事をするなら東京でしたいという気持ちがあったのですか?
中
:そうですね。広島ではとても孤独で、なによりも翻訳の話のできる仲間がほしいと切実に思っていました。でも、広島でも東京でも、結果はあまり変わりませんでした。ずっと部屋に籠もって翻訳をしているだけですから(笑)。それに、出版や映像は違うかもしれませんが、実務では東京でも翻訳者同士の交流というのが本当に少ないんですよ。翻訳学校に通っていたような方は横の繋がりがあるかもしれませんが、私の場合はそういったこともなかったので。
坂田
:取引先の数や仕事の内容は、東京に出てきて変わりましたか?
中
:ほとんど変わりません。取引先の数は、広島の頃とほぼ同じです。ただ、東京では家事から開放されて自分の時間が増えたので、こなせる仕事の量は増えましたが。仕事内容で言うと、東京、広島の違いではなく最近の傾向として、世の中の不景気が影響してか以前のようにバラエティに富んだ翻訳というのはなくなってきましたね。今、主にやっているのは、コンピュータ、自動車、不動産、特許といったところです。
坂田
:今まで幅広くいろいろなところから出てきていた仕事が、景気の影響で、どうしても必要なところだけになってきたという感じですか?
中
:そうですね。景気の動向プラス、翻訳会社や翻訳者が増えたということだと思います。取引先の数は同じですが、その会社に来る仕事の種類がだんだん特化されつつある、そういう印象があります。
坂田
:現在は、東京の事務所で翻訳の仕事と、あとフェロー・アカデミーの講師もなさっているんですよね。
中
:はい。フェロー・アカデミーでは今は週に2回教えています。本音を言うと、講師の仕事は東京に出てくる口実として絶対に必要だったんです。広島には家族がいますし、年老いた母もいますから、講師という名目がないと東京には出て来られなかった。翻訳は広島にいてもできますから。
坂田
:そうですね。地方で活躍するフリーランスの翻訳者が少ない時代から、ご自身で実績を作り上げてきたわけですから、東京でないと翻訳はできないとは言えないですよね。
中
:そのとおりです。
坂田
:広島にいらっしゃったときと東京と変わらないという情報は、アメリアの地方の会員さんにとっては嬉しい情報だと思います。
中
:特に今はインターネットもあるし、アメリアのサイトも充実しているので、東京でなければ仕事ができない、東京のほうが有利だということはまったくないと思うんですよね。
坂田
:両方経験なさったうえでの感想ですね。では、いずれは広島にお戻りになるのですか?
中
:はい。高齢の母がいますので、母が元気なうちは東京にいてもいいということなんですよ。必要とあれば、いつでも広島に帰るつもりです。
坂田
:翻訳をするだけではなく、講師として生徒さんに翻訳を教えるということはいかがですか?
中
:とてもいい経験になっています。生徒さんの中には、自分で気づかなかったような視点から捉えるような人もいますから。自分がこれまで何となく訳していたところを質問されると、じゃあなぜそうしたのか答えられないこともあるんですよね。それらに1つ1つ答えようとするうちに、単語ひとつとっても、こういう場合はこう訳すといったことが理論的に自分で整理がつくようになってきたような部分もあります。それから、授業のあと、みなさんといつも飲み会に行くのですが、翻訳という同じ道を志す仲間、私自身もその一人だと思っているので、そんな仲間がいっぱいできたことが、とても嬉しいです。
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