アメリア会員インタビュー



以前から興味があった映像翻訳という新たな道に挑戦

坂田:希望だった国際機関で働けるようになったのに、どうして日本の外資系メーカーに転職したのですか?

渡部:開発銀行では、中南米諸国の優秀な学生に奨学金を給付する際の事務手続きを担当していました。仕事をきちんとこなしていさえすれば、例えば多少の早退や休憩時間の延長なども自由にできる、わりと恵まれた環境だったのですが、自分で考えて仕事の幅を広げていくといった類の仕事ではなかったので、「このままこの職場に居続ける限り、10年後も同じことをしているんだろうな」と考えたときに、働く環境を変えたいと思ったんです。

坂田:それで外資系のメーカーに転職したのですね。

渡部:はい。ただ、矛盾しているかもしれませんが、今度は外資系とはいえ日本の企業だったので自由度がまったくなく窮屈に思えてきました。それと、仕事の内容は自動車のメンテナンス関係のマーケティングだったのですが、文系出身の私にはわからないことが多く、語学を生かしてもっと自由にできる仕事をしたいと思ったんです。

坂田:それで思いついたのが映像翻訳だった?

渡部:実は、数年前にも学びたいと思ったことがあったのですが、その時は学校が見つからなかったんです。このときは映像翻訳専門の講座が見つかったので、すぐに通い始めました。

坂田:実務経験を生かして、フリーランスの実務翻訳者という選択肢はなかったのですか?

渡部:それまでに仕事で実務系の翻訳や通訳は経験していたので、それとは違うことがしたかったんだと思います。エンタテインメントの楽しい部分が欲しかったのかもしれません。映画はストーリーを追っていくのが楽しいですから。そういう意味では文芸でもよかったのかも。チャンスがあれば文芸翻訳もやってみたいと今でも思っています。

坂田:長年働いてきて、転職などでキャリアアップもしていたと思うので、収入もそれなりだったのでは。一からのスタートで、またフリーランスの仕事ということで、そのあたりの不安はありませんでしたか?

渡部:アメリカで働いていたときは年俸制だったので、前年の自分の働きによってお給料が決まってくるという意味ではフリーランスに近いところがありました。だから、映像翻訳も頑張ればそのうち何とかなるかなと。毎月決まった金額が入ってこなくても、年間でトータルしてそれなりになればいいや、という感じで、あまり不安は感じませんでした。

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