岡田 :今月のゲストは英語とヒンディー語の映像翻訳のお仕事をされている藤井美佳さんです。代表作に『チェイス!』『バルフィ!人生に唄えば』など、これまでに多数の作品を翻訳されています。ヒンディー語の翻訳者の方にお会いするのは初めてなので、いろいろお聞きするのが楽しみです。藤井さん、英語とヒンディー語、バランス的にはどちらのお仕事が多いですか?
藤井 :ふだんは英語の映像翻訳が中心の生活です。ヒンディー語の仕事もしていますが、インド映画は洋画ほど需要がないので英語がメインになっています。インドは映画の製作数が世界でも一二を争うほど多いので、いい作品はたくさんあるんですけど……。
岡田 :インドの映画製作はそんなに多いんですね! インド映画といえば『ムトゥ 踊るマハラジャ』を思い出します。
藤井 :日本で知られる代表的なインド映画ですね。あそこまでのヒットはなかなかありませんよ。タミル語なので私はあまりわからないんですが……。
岡田 :あれはタミル語なんですか。インドは多民族国家だけあって、一口にインド映画といっても複数の言語の作品があるんですね。
藤井 :はい。タミル語の映画は南インドの映画で、俳優さんの感じも違うんです。男優さんはちょっともっさりした感じのヒゲの方が多くて、女優さんはとってもきれい! 北の映画は男優さんがアーリア系。イスラム教徒の男優さんもたくさん活躍しています。そうそう、女優さんの多くは南出身の方が多いんですよ。いわゆる「インディアンビューティー」って、南の民族の女性が多いんですね。
岡田 :さすがインドの情報にお詳しい! インドにはよく行かれるんですか?
藤井 :以前は観光に行ったり、インド映画祭のアテンドの仕事で知り合った友達を訪ねたりすることがありましたが、子どもが生まれてからは行きたくてもなかなか……。私が知り合ったインドの方たちは、一度友達になると親戚のように迎え入れてくれる方がたくさんいました。
岡田 :藤井さんは言葉を習得しているから、文化や人間関係の理解も深そうです。
藤井 :いえいえ、インドは歴史も深く、多文化が混ざり合うひじょうに複雑な国ですから、私の知っているインドなんてごく一部ですよ(笑)。でもそんな多彩なインドを少しでも日本の人たちに理解してもらいたいという気持ちがあります。映画だったら2時間ほどですから、本よりも短時間で効率的(笑)。
岡田 :たとえばどんなインドを紹介したいですか?
藤井 :インドは今、女性がとても元気なんです。もちろん農村部と都心部とは信じられないほどの格差が生じていますが、すごく胸を張ってがんばっている女性たちもたくさんいる。そういう女性たちの考えなどを伝えられたらいいなと思います。
岡田 :元気なインド女性の活躍をぜひ見てみたいです。今日はお仕事の話からインド映画、そして子育ての話まで、たくさん興味深いお話が聞けそうで楽しみです。
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