アメリア会員インタビュー


森村 里美さん

第89回

北海道・稚内在住。最北の大地で子育てと出版翻訳に奮闘中森村 里美さん

Satomi Morimura

5月に最新訳書を上梓 トライアルを経て数年ぶりに掴んだチャンス

濱野 :今回のゲストは、ノンフィクションの翻訳をされている、北海道・稚内在住の森村里美さんです。いきなりですが、実はぼく、北海道出身なんです。森村さんもそうですか?

森村 :いえ、私は茨城出身で、学生時代から20年ほど東京で暮らし、14年前に夫の仕事の関係で稚内に引っ越しました。

濱野 :あ、そうでしたか、失礼しました(笑)。でも、もう14年も住んでいらっしゃるんですね。出版翻訳でのデビューは2005年ということなので、北海道に移られてからですか?

森村 :はい。2007年にも訳書が出ましたが、その後は育児などに追われ、翻訳の仕事から遠ざかることになりました。なんとか、今年5月に最新訳書を上梓できました。

濱野 :『認知症の人を愛すること』(誠信書房)ですね。

森村 :はい。「曖昧な喪失」の研究で世界的に有名なポーリン・ボス博士が、認知症の介護をする方のつらさに寄り添い、具体的なアドバイスを詰めこんだ本です。

濱野 :なるほど、いま、まさに多くの方が必要としている内容ですね。この本を訳すことになったのは、どのような経緯だったんですか?

森村:アメリア経由でいただいたお仕事です。メルマガの求人情報を見て応募し、トライアル選考を経て採用していただきました。書籍関連の求人には極力応募してきましたが、直接書籍の翻訳に繋がったのは、今回が初めてです。以前にも誠信書房さんの心理学書翻訳の求人に応募しましたが、不採用でした。ただ、そのときから、ご担当の松山さんという編集者さんが簡潔な文面で迅速にメール対応してくださるのが印象に残っていました。今回の担当者欄にも松山さんのお名前を見つけ、再トライに力が湧いたのを思い出します。翻訳者に決定したというお知らせをいただいたときは、ほんとうに嬉しかったです。

濱野 :稚内在住ということですので、編集者さんとの相談はメールが中心ですか?

森村 :そうですね。基本的にはメールですが、ポイントになる部分ではさっとお電話が入ることもありました。直接顔を合わせてのやり取りができなかったのは、やはり残念です……

濱野 :そうですね。ただ、関東に住む翻訳者さんでも、編集者さんとはメールでのやり取りが中心で、直接顔を合わせて打ち合わせをする機会も少なくなっているという話を最近は多く聞きます。その点で言えば、住む場所によってメリット・デメリットはあまりないのかもしれませんね。そのほか、苦労した点などはありますか?

森村 :これは本当にプライベートなことなのですが、翻訳を進める最中に10年ぶりの引越が避けられなくなりました。自分の頭と身体を使ってせざるをえない引越作業が山積みになると、翻訳の仕事が滞るようになってしまい、胸が締めつけられました。それもなんとか松山さんのご配慮で乗り越えることができました。出版社さんのご対応に心から感謝しております。