アメリア会員インタビュー



最初の翻訳学校では挫折。ならば働きながら現場を知ろう

坂田:初めての翻訳の勉強、いかがでしたか?

島崎:結果からいうと、選んだ学校は私には合っていなかったようで、途中で挫折をしました。私のそのときの語学力は、恐らくTOEIC700点程度だったと思うのですが、私が受講した翻訳クラスのクラスメートは大学は英文科卒、英検1級を持っているくらいの実力の方ばかり。そのわりには英語を職業につなげようという意識はあまりなかったというか……。その学校には他にビジネス系のクラスが多数あって、そちらは英語を使ってバリバリ働きたい方が多いのですが、翻訳クラスは仕事というよりも語学が好きで、学ぶことに満足している方が多かった気がします。最終的に優秀者には仕事を紹介してくれるという触れ込みではあったのですが、ここで勉強しても仕事ができるようにはならないと思い、方向転換を考えました。

坂田:方向転換というと、学校を替えたということですか?

島崎:ここで単に学校を替えるだけでは、また同じことになってしまうかもしれません。どうしようかと悩んでいたとき、あるテレビ番組を見たんです。お掃除請負会社の女社長さんの体験談だったのですが、会社を興す前に、まず自分が同業の会社に勤めて働いてみたのだそうです。「知識を得られるし、お金ももらえるなんて最高だ」というのです。そうか、私は英文科卒でもないし留学経験もないのだから、まずは翻訳の仕事をさせてくれる会社で働いてみればいいんだ、と思いました。ただ、求人をいろいろと調べてみると、「翻訳者募集」にはたいてい“経験1年以上”と条件にあります。そこで、とりあえず英文事務にターゲットを絞り、“未経験でも可”のところを探しました。1年働けば経験として認めてもらえるようなので、その後、英文事務プラス翻訳の会社に移ろうと考えたのです。

坂田:とても計画性のあるお考えですね。実際、うまくいきましたか?

島崎:はい、まず経験不問の英文事務の求人に応募して、神戸にある貿易会社で働けることになりました。ここでは、会社で扱われる英文書類にどのようなものがあるのか、多くの実例を見ながら仕事ができましたし、英文メールのやり方も、それまでは本で読んだことしかありませんでしたが、実際に体験することもできました。とはいえ、やはり最初は「英語で電話が掛かってきたら、受け答えできるだろうか」とドキドキでした。初めのころは言葉に詰まってしまって、恥ずかしかしい思いをしたこともありました。ただ、まわりの社員の方が英語が堪能な方が多かったので、どんどん聞いて覚えましたね。英文を書くのも、会社には過去の書類など参考になるフォーマットがいくらでもあります。それを参考にしながら、覚えたいところはメモに残したりして、仕事をしながら勉強しました。この会社には1年間勤めて、その後、“一部翻訳業務もあり”という会社に転職しました。そちらの会社には結局2年間勤めましたが、仕事に慣れたころから、もう一度、翻訳学校に通い始めました。

坂田:前の学校では挫折しましたが、次の学校はいかがでしたか?

島崎:たまたま私が受講した講座の講師の方が、「仕事を得るためのプロセスを教えます」というスタンスだったので、私の希望にぴったりだと思いました。また、この学校では講座を2つ修了すると、この学校と提携している翻訳会社のトライアルに応募できるという制度があったので、地道に頑張ればとりあえずトライアル受験は確実にできると思い頑張りました。損害保険会社に7年間勤めたキャリアを生かして金融分野の翻訳を学びたかったのですが、残念ながら東京校でしか開講していないとのことだったので、「IT」と「ビジネス翻訳」を受講しました。

坂田:授業の内容はいかがでしたか?

島崎:それぞれ週1回、半年間の講座でした。「IT」の授業では、ローカライズやマニュアル翻訳の課題をこなしていきつつ、仕事の効率化について、例えばマクロを組んで翻訳効率をアップさせる、といったことも教えてもらえて、興味深かったです。いずれ仕事に役立てられそうだなと思いました。「ビジネス翻訳」の課題には、契約書や会社案内などがありました。こちらは英日だけでなく、日英翻訳も学びました。

坂田:翻訳を仕事にする手応えを感じられましたか?

島崎ITの分野は、好きではあったのですが、基礎知識が不足していて、日本語で書かれた文章でも読み込めていないと感じることがありました。試しに、この分野の初級者向け資格のひとつである「ITパスポート」という資格試験の勉強を始めてみたのですが、どうも知識が浸透していかず、この分野で仕事をしていくのは難しそうだと判断しました。その点、金融の分野なら多少は知識があるし、用語や文章に馴染んでいます。やはり金融を目指そうと思い、フェロー・アカデミーの通信講座「マスターコース金融」を受講することにしました。

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