アメリア会員インタビュー


駆け出し時代のシノプシス作成で、翻訳体力やスピードを強化

岡田 :大好きなビートルズの伝記を機に、数々の音楽書籍を翻訳されてきた大田黒さん。そもそも英語や翻訳をどのように学ばれたかをお聞かせいただけますか?

大田黒 :英語には子どもの頃から興味があり、本を見ながら漠然と憧れを募らせていたのを覚えています。中学に入って洋楽を聞き始めたことで、ますます英語が好きになっていきました。基本的な英語力は大学入試の受験勉強で身につけたと思います。

岡田 :なるほど。では大学では音楽か英語を?

大田黒 :いえ、法学部でした(笑)。音楽は趣味で続けるのがいいなと……。卒業後社会に出て、企業勤務を経て英語講師の仕事をしながら翻訳学校の通信講座で出版翻訳を学習しました。

岡田 :通信講座の学習を始め、出版翻訳の道に進むことを決心したきっかけは?

大田黒 :当時、「自分がいちばんしたいことは何なのか」ということをよく考えた結果の選択です。長年、翻訳に対する思いが心のどこかでくすぶっていたように思います。そもそも言語としての英語、英語学に興味がありましたから、もっと英語を学び、それを生かした仕事をしたいと思うようになりました。

岡田 :学習中はいかがでしたか? 講師のお仕事との同時進行でつらいこともあったのでは?

大田黒 :自分が望んだことでしたから、つらかった思い出は特にないように思います。トライアルに落ち続けてもあまり気にしないタイプなので(笑)。でも当時、通信講座でいつも前向きにほめてくださった先生の言葉にとても助けられていました。トライアルに落ち続けても、めげずに挑戦を続けられたのは、そんなあたたかいメッセージに励まされたお陰だったと感謝しています。そうそう、初めてシノプシスの仕事をいただいたときは、その量の多さと納期の厳しさに夢でうなされましたね。今でもたまに夢に出てくるほどです。

岡田 :そんなに厳しいスケジュールで?

大田黒 :かなり分厚い美術書などを1週間でA4用紙15枚ほどのシノプシスに仕上げなければならなかった。昼の仕事と同時進行だったので、スケジュール的にも体力的にもかなり厳しかったですね。けれどノンフィクションのシノプシスの仕事を20本ほどしたことで、速読力や翻訳の基礎体力がだいぶ鍛えられたと思います。

岡田 :それはなかなか過酷なトレーニングでしたね。

大田黒 :翻訳は、なにがいちばん大事かって、それは体力だと思います。英語力っていうよりまず体力(笑)。今思えば、当時鍛えられたお陰でだいぶ体力がつき、スピードが速くなりました。

関連する会員インタビュー
出版翻訳