アメリア会員インタビュー


「地道にひたすらコツコツ進めて、納期を必ず守るよう早めに仕上げています」

岡田 :駆け出し時代のシノプシス作成でスピードをつけた大田黒さん。最近訳されたシリーズ作品は、どれくらいのお時間がかかりましたか?

大田黒 :長くて1冊を3ヶ月ほどでしょうか。それなりに厳しいスケジュールでした。音楽関係の書籍なら、固有名詞やアルバム名、曲名、グループ名などは調査の時間が少なくてすむので、その分早く進められるというのはありますね。地道にひたすらコツコツ進めて、納期を必ず守るよう早めに仕上げています。

岡田 :音楽関連情報のデータベースは頭の中にしっかり保存されているんですね。それは有利!

大田黒 :いえいえ、大変なことは大変ですよ(笑)。勢いにのってやっているときは日本語がうまく浮かんできますが、考えに考えることもしょっちゅうです。よく考えた末に英文の意味がわかったり、適訳が浮かんだりして頭の中の霧が晴れると、爽やかなやりがいを感じますね。

岡田 :趣味の音楽と得意の英語をいかした音楽書籍の翻訳ですから、お仕事にやりがいを感じられるのがよくうかがえます。ところで、大田黒さんはご自宅で長時間お仕事をすることをどう感じられますか?

大田黒 :私は自宅で翻訳の仕事をしている時、精神的に落ち着いて幸せを感じるんです。何日間も家にこもっていてもストレスにならない(笑)。でもじつは翻訳って、インドアな仕事だけでは成り立たないんですよね。担当者さんあってのお仕事ですから、コミュニケーションも必要。そういう意味では英語講師の経験はとても役に立っています。

岡田 :なるほど。書籍は担当者さんと何度もお話を重ねた上ででき上がるものですから、コミュニケーションは不可欠ですね。教えるというお仕事は、その能力がもっとも磨かれるお仕事かもしれません。

大田黒 :そうですね。教えることを通して学んだことはたくさんあります。生徒さんを見ていると、誤りやアドバイスを素直に受け入れ、冷静に自分の間違えや改善点を受け止められる方は伸びるのも早いことがわかりました。逆に指摘や訂正を受けて、極度に落ち込んだり反発したりする方は成長も遅い……という現実も見受けました。教える立場であり、教わる立場でもあったことから学んだことは数多いですね。

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