中井:当時は、英語圏先進国は教育程度が日本と同等か高かったため、日本人学校の必要はないとされていましたので、私も現地の公立学校に放り込まれました。西海岸ではELS(English Language Services:米国国務省の要望と協力によって1961年に設立された外国人に対する英語教育機関)に入ってから現地校へ入るのだと聞いてびっくりした覚えがありますが、私が住んでいた場所ではELSはおろか、英語を話せない子どものための特別な教室もなく、英語の時間に現地の子どもたちと一緒に“リーディング”(読み書き能力訓練)をやるだけでした。子どもはすぐに慣れるから、言葉の習得も早いだろうと信じられていたのです。でも、2年いてもひと言も英語が話せない子どもがいるのも常識でした。在米中に「ニューヨーク日本人学校」ができましたが、当時はアメリカに適応できない子どもと受験に熱心な家庭の子どもが行くところという感じで、私たちには人ごとでした。