岡田 :オーストラリアとカナダで2年間英語力を磨き、帰国してからどのような道を?
島 :帰国後すぐに翻訳の仕事を探しはじめました。運良くアメリアを通じて初心者でもOKのゲーム翻訳の求人を見つけ、さっそく仕事をはじめることができました。
岡田 :そこからどんどん翻訳の道が開拓されていった、という感じですね。
島 :はい。いよいよ具体的に世界が広がりはじめました。
岡田 :島さんはフェロー・アカデミーにも通学されたとお聞きしましたが、それはいつ頃?
島 :ゲームの翻訳を2、3年続けたころです。そろそろ具体的に映像翻訳のスキルを身につけたくて講座に通いはじめました。ゲーム翻訳だけでなく、いつかは映像の方に進みたいという気持ちがありましたから……。講座を修了した頃に、映像翻訳の会社の求人情報を見つけ、そこで働きはじめたのが映像翻訳のスタートです。
岡田 :その会社でDVDを何十本も訳すようになったんですね。当初はコーディネーターのお仕事もされていたそうですが、そのお仕事で覚えたことも多いのでは?
島 :はい。自分が翻訳を発注する側だったので、仕事の流れがよくわかりました。その時の経験は今とても役にたっています。やはり「ほう・れん・そう」は仕事の基本ですよね。
岡田 :ほうれんそう!(笑) 社会に出ると必ず上司から叩き込まれる「報告・連絡・相談」ですね。
島 :そう、それです(笑)。特に今でも連絡はこまめに早めにしようと思っています。コーディネーターはなるべく早く翻訳者を見つけたいので、連絡が早い人のほうが有利ですから。候補の翻訳者のなかでも、早く返事をくれる人から打診して、都合が悪ければ次へ、というのが通常の流れです。
岡田 :なるほど、コーディネーターの経験があるというのは、フリーランスでお仕事をする上で有利ですよね。
島 :そうですね、クライアントの要望に応えやすくなる、というのはあります。
岡田 :2年間で英語をマスターされ、その後ゲーム翻訳者からコーディネータへ、そして社内翻訳者として多数のDVDの翻訳、3年後に独立……、島さんはなにひとつ無駄なく、効率的にキャリアを積んでこられている感があります。
島 :うーん、どうでしょうか(笑)。でも効率は意識していると思います。合理的にやらないと気がすまないという部分はありますね。仕事をするときも同様で、できるだけ合理的に無駄のないよう進めたいと思っています。ある意味とてもマイペース(笑)。
岡田 :そういった意味ではフリーランスのスタイルは向いていますね。
島 :そうですね。やはり会社にいた頃は時間的な制約がありましたから、もう少し練り上げたかった部分があっても、次の仕事があるのであきらめなければならない状況がありました。性格的に最後まで納得いくまでやらないと気が済まないので、今はそういった部分をコントロールできるのがありがたいです。一つひとつの仕事に燃えつきることができるからいいですね。