アメリア会員インタビュー

「どんな小さなことも無駄にならない翻訳という仕事に、心からやりがいを感じます」

岡田 :一つひとつの仕事を最後までつきつめたいという島さん。高い完成度を求める追求心と集中力は翻訳の学習や仕事でも生かされたのではないでしょうか。ところで、映像翻訳の世界は女性が多いと聞きますが、フェロー・アカデミー時代のクラスも男性は少なかったですか?

:そうですね。当時、一人か二人くらいだったと思います。

岡田 :女性と男性の目線で訳に相違を感じることはありましたか?

:男女を問わず、作品の内容によって向き不向きはありますが、やはり男同士のノリや言葉のやりとりは男性目線が役立つなというのは感じました。

岡田 :男同士の機微を表現するには、やはり男性翻訳者の目線は強みですね。

:逆にぼくが女子会の会話を訳したらおかしなことになりそうですが……(笑)。

岡田 :たしかに男性同士、女性同士の独特な言い回しや間の取り方はありますよね。島さんはゲーム翻訳の経験もあるので、きっとアクションなどがお得意なのでは?

:はい、アクション、スポーツ、ゲームの翻訳は得意分野です。サッカーやゴルフ、野球などスポーツはするのも見るのも好きなので、翻訳も楽しめます。自分でも気に入っている作品のひとつ、『コッホ先生と僕らの革命』もサッカーがテーマの映画で、ルールなど調べものの時間も少なく、スムーズにできました。

岡田 :それは経験が役立ちましたね。サッカーは夜中にテレビの前で応援したりするんですか?

:しますよ。ヨーロッパのリーグなど、明け方まで観戦することもあります。さすがに青い服までは着ませんけど(笑)。野球も国内外を問わず、いつもチェックしています。

岡田 :ふだんスポーツをあまり観ない方は、スポーツのシーンで苦労するみたいですね。スポーツがメインのストーリーでなくても、背景のテレビの実況中継の訳に苦労したり(笑)。

:そういうシーンってよくありますね(笑)。逆に僕はふだんから実況中継を聞いているので、そうしたライブ感のある訳が得意なんです。やはり好きな分野や経験が活かされる分野の翻訳は、ノリやスピードが違ってきますね。理解があるだけで仕事の効率がまるで違う。

岡田 :やはり知識や理解を深めることは、翻訳者にとって大切ですよね。

:そう思います。翻訳の仕事って、自分が今まで経験してきたことや、何気なく覚えていた知識が思わぬところで役立つことが数多くある。そういう場面に出くわすたびに、どんな小さなことも無駄にならない翻訳という仕事に、心からやりがいを感じます。

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