岡田 :テクニカルライティングのお仕事の後は、どのような変化が?
舟津 :実は大学卒業後にフェロー・アカデミーの通信講座と通学講座を同時に受講し、テクニカルライティングの仕事と両立していました。体力的につらかったですが、若さと翻訳者になるための熱意で乗り切っていましたね。ちょうどその頃結婚してしばらく経ち、ライフスタイルの変化を考えはじめ、当時最先端だった IT 翻訳講座を受講しました。自分の興味や仕事とぴったりと合って、とても楽しく勉強できましたね。この講座を受けて「自分はプロだ!」と思い込みましたね(笑)。勢いのある時代でした。
岡田 :特にITに関しては、ノリノリの時代でしたね。
舟津 :そう。そして講座修了を武器に、新たな仕事を探しはじめたんです。短期間ローカライズの会社にいましたが、会社が閉鎖されてしまい、派遣会社に翻訳者として登録、それがMSとのお仕事のきっかけになりました。
岡田 :MS時代はどんな毎日をお過ごしでしたか?
舟津 :あの頃は毎日が楽しく、明日はどんな翻訳が来るだろう、どんなテクノロジーが出てくるのだろうと、知的好奇心が存分に刺激された 18年間でしたね。でも仕事を始めた頃は開発の部署というのもあって、何のことやらわからないことだらけでした(笑)。
岡田 :まだ情報も少ない時代ですし、カタカナだらけですからね。「てにをは」だけがひらがなのような(笑)。
舟津 :そうなんです。でも、最初の頃はわりと暇だったので、当時の上司が「勉強にもなるから」と、社内のデータベースなどを見てこれから自分がかかわる分野を勉強するように勧めてくれました。そのおかげで、英語と日本語の両方を見ながら、ひたすら勉強することができましたね。開発のサポート部署でしたから、みなさん教え上手で、わからないことを相談するとわかりやすく丁寧に教えていただきました。ホントにラッキーだったなと思います。
岡田 :それで徐々に知識を身につけていかれたんですね。
舟津 :MSは、よく「キャンパス」と呼ばれますが、何かを習得したいと考えている人には、職種や身分に関係なく本当にいろいろな学習機会を提供してくれる会社です。英語はもちろん、わかりやすい日本語を書く講座なども業務の一環として参加させていただきましたね。いろいろ勉強になりました。
岡田 :当時はどういう形態でお仕事を?
舟津 :18年間、ずっと同じ部署でしたが、上司や契約は頻繁に変わりましたね。派遣で仕事をしてから、1年ほどで契約社員となり、1998年頃、ローカライズの部署の社員にという話もありましたが、妊娠出産を考えていたので、とても悩みました。当時は今と違って、出産すると勤務が難しい時代。たまたま上司の奥様がフリーランスの方で「仕事を続けるならフリーという形もあるよ」と提案していただき、フリーランスで専属契約となりました。「MSは一人でがんばって前に進む人を応援する会社なので、できる限りのサポートをします」と背中を押してもらい、わりとスムーズにフリーランスに移行できたと思います。
岡田 :なるほど、そういう経緯だったんですか。そして無事ご出産を?
舟津 :はい。半年ほどして妊娠、2月に出産でしたが、1月の中頃のギリギリまで納品してましたね(笑)。しばらくしてから、週に3回出社、残りは在宅で仕事という形態になりました。