アメリア会員インタビュー

翻訳の納品前日は生涯初の徹夜を

坂田 :暗黒時代から抜け出すチャンスは、いつ訪れましたか?

西山 :通信講座を終え、独学に切り替えて2年ほど経った頃でしょうか。あるコンテストに応募して優秀賞をいただきました。これをキッカケに、出版社を紹介していただいてリーディングのお仕事をするようになりました。

坂田 :コンテストにはよく応募していたのですか?

西山 :独学をしていると、自分が今どれくらいのレベルなのかまったくわからないので、それを計る意味もあって、さまざまなコンテストに応募していました。アメリアにも、開催されているコンテストやトライアル、トライアスロンに応募したくて、この頃に入会しました。ある大手出版社共催で実施されたアメリア新人翻訳家コンテスト(※注、現在はスペシャルコンテスト)でも入賞しましたが、最優秀賞ではなかったので、残念ながら翻訳のお仕事には結びつきませんでした。

坂田 :初めての翻訳のお仕事は?

西山 :リーディングを始めて1、2年経った頃、共訳のお話をいただき、喜んでお引き受けしました。そして、何冊か共訳をするうちに、1冊翻訳をしてみないかというお話をいただきました。

坂田 :リーディング、共訳と、コツコツ積み重ねてきた努力が認められたのでしょうね。

西山 :とにかく、お仕事の話をいただくと、どんな仕事でも絶対に断りませんでした。「これを断ったらもう次はない」という気持ちでした。

坂田 :初の訳書はどのような内容でしたか?

西山 :『男の嘘を見ぬく6のサイン』(イーストプレス刊)という本で、2002年7月に出版されました。

坂田 :1冊訳すというのは大変な作業だと思いますが。

西山 :そうですね。共訳のときは短編だったので、1日に何ページと割り振っていけばこなせたのですが、1冊まるまるとなると、よくわかる部分とそうでない部分が出てきて、最初に組んだスケジュールどおりにはなかなかいきませんでした。

坂田 :この本は、ジャンルで言うと?

西山 :ノンフィクションの心理学です。どちらかというと苦手な分野でしたので、専門用語にも詳しくなく、類書を読んで勉強する時間もとらなければならず、スケジューリングがとても大変でした。納品の前日は、生まれて初めて徹夜をしました。

坂田 :初めての徹夜ですか!?

西山 :はい。本当にこの訳語でいいんだろうか、表記の統一が崩れているところがどこかにあるんじゃないだろうか、もう心配で心配で、何度も読み返してチェックしているうちに、気がついたら朝だったという感じです。

坂田 :学生時代も徹夜をしたことがない、というのにも驚きましたが、頑張って起きていたというのではなく、時間を忘れてチェックに没頭していたのですね。

西山 :そうですね。この本が実際に近所の本屋さんに並んでいるのを見つけたときは、本当に感動して、思わず買ってしまいました。自分の手元にもういただいていたのに。

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