アメリア会員インタビュー

夢は自分が見つけた原書を大ベストセラーにすること!

坂田 :その後のお仕事は順調ですか?

西山 :はい。幸いなことに、定期的にお仕事をいただける出版社が数社でき、それが今まで続いています。フィクション作品のリーディングでおつき合いをさせていただいている出版社もあるので、いつかはそちら方面も仕事につながれば、と考えています。

坂田 :合計で今まで何冊ぐらい訳書を出されているのですか?

西山 :文庫化されたものも含めてですが、単独訳書は6年間で22冊になりました。願ってもいないようなペースでお仕事させていただいています。

坂田 :その後、徹夜をされたことは?

西山 :1回もないです。

坂田 :徐々にペース配分がわかってきた?

西山 :そうですね。みなさんそうかもしれないのですが、最初のとっかかりに時間がかかるんです。著者の方の文体に慣れてきて、言いたい事がわかってくると、だんだんゆるい右肩上がりでページ数がこなせるようになっていくんだなということが、ようやく最近わかってきて、最初にうまくいかなくても焦らないようになりました。

坂田 :だいたい、どのようなペースで仕事をされるのですか?

西山 :本をいただくとまず、1日に最低何ページは訳そう、と決めるタイプですね。最初はうまくいかないのですが、あとで微調整ができることがわかってからは、適当に休息をとりながら、気分転換もしながら、集中して翻訳するというふうに仕事のスタイルは変わってきたような気がします。1冊目のときは、トイレに行く以外は全部翻訳、という具合だったのですが、それでは体力が続かないことがわかりましたから。

坂田 :気分転換には何をしますか?

西山 :運動ですね。ジムに通っています。

坂田 :自宅で仕事をしていると通勤もないし、下手をすると数日間家を出ないということにもなりますよね。

西山 :そうなんです。最初の3年ぐらいは、その通りの生活で、汚いジャージを着て、髪は半年ぐらい美容院に行っていない、化粧っけもない、という状況。座りっぱなしで腰を悪くしてしまい、視力もどんどん落ちていくし、これはイカン、仕事を続けていくためには体力をつけておかないと、と考えて、4年目ぐらいから意識して運動をするようになりました。

坂田 :翻訳の学習を始めた頃から13年ということですが、今振り返ってみるとどうですか?

西山 :本当に幸運だったと思います。収入の面だけでいえば、もっと高収入な仕事はあると思いますが、夢見ていた仕事ですし、お金には換えがたい充実感があります。また、私は通学をせず独学の道を選んだのですが、コネもなにもなくて、ここまでこられたのは、フェローのような教育機関やアメリアのようなネットワークがあったおかげだと、感謝しています。

坂田 :最後に、今後の夢を教えていただけますか?

西山 :はい。二つあります。一つは、自分が探した原書を訳して、それが大ベストセラーになること! そうはいっても編集者にあまり知り合いがいないので、アメリアの出版持込ステーションをぜひ活用したいと思っています。今、自分の専門としている分野が、最初は苦手だったノンフィクションの心理学やスピリチュアル関係の本がほとんどなので、そういう分野で探しています。まだ応募したことはないのですが、出版社の傾向を知るために、出版持込ステーションのホームページをちょくちょくのぞいて、どういう企画が出ているのか、どれが検討中なのかチェックしています。定期的に見ていると、出版社さんが注目しているのは何か、傾向がわかるんです。

坂田 :素敵な夢ですね! では、もう1つは?

西山 :最近はスピリチュアル関係の本を翻訳することが多いのですが、そのお手本になる本がなかなかないんですね。スピリチュアルの本を多く出版されているプロダクションの社長に、「ただ訳せばいいのではなく、コツがいるんだよね」と言われたことがあります。ただ、このコツは日本で売られているスピリチュアルの本を読むだけではわかりません。私自身、何冊か翻訳を重ねて、ようやくわかるようになりました。おそらく、これからの時代は、今まで以上に心を癒す本が必要とされてくると思うんです。ですから、仕事をしながら、自分なりにノウハウを蓄積していって、いつか、何らかの形で、後進の方々にそれを伝えられたらなと思っています。

■あるときは堅実に、あるときはガツガツと、決して諦めることなく、独学で翻訳の道を突き進んでこられた西山さん。お話を伺っていて、とてもバランスの良い方だなと感じました。積極的に、客観的に。おごることなく、謙虚になりすぎることなく。フリーランスとして仕事をするために、とても重要なことだと思います。大きな、そして素敵な夢に向けて頑張ってください!

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