岡田:今回のゲストは出版翻訳の世界で大活躍の寺尾まち子さんです。ロマンスやミステリー、ノンフィクションの翻訳を数多くこなす寺尾さんに、これまでの道とこれからのビジョンをお聞きしたいと思います。寺尾さん、今日はタイトなスケジュールの中お越しいただき、ありがとうございます。
寺尾:いえいえ、実は1月刊行のミステリーが終わって、少しひと段落したところなんです。
岡田:それはおめでとうございます! 寺尾さんはロマンス小説やミステリー小説の翻訳で大活躍でいらっしゃいますね。
寺尾:おかげさまで、この十数年は走り続けている感じですね。
岡田:訳書は全部で何冊ほどになりますか?
寺尾:訳も含めると30数冊でしょうか? 最近数えていないんですが、アマゾンで調べたらそれくらい出てきたと思います(笑)。半分近くがロマンスですね。
岡田:すごい数ですね! 「走り続ける」という表現がよくわかります。ロマンス小説は人気がありますね。
寺尾:そうですね。でも供給過剰なのか、一時ほどの勢いはなくなっているようですが……それでも人気ですね。
岡田:このジャンルの翻訳はスピード勝負ですか?
寺尾:スピードは必要ですね。刊行が雑誌のように決まっている版元もあり、それに間に合わせて訳していきますから。訳了してから刊行までも早いですし、その分、印税の支払いも早いので、仕事としては計画がたてやすいというのはあります。でも確かにそれなりのスピードは要求されますね。
岡田:ロマンス小説はどれくらいの期間で訳すのですか?
寺尾:厚さによっても違いますが、だいたい入稿まで3ヶ月くらいいただきます。でも他のお仕事と重なったり、あとがきなどを書いたりするので、正味2ヶ月くらいでしょうか。時間的にはタイトです。
岡田:きびしいですね。夜中までお仕事ということも?
寺尾:そうですね。忙しくなってくると睡眠時間を削って、という状態です。締め切り前に他の仕事も重なってしまったりすると、非常事態になります(笑)。
岡田:忙しさの波はありますか? 大波の状態のテンションをランナーズハイのように楽しんでしまう方もいますが。
寺尾:大波をつくらないようにがんばっているつもりなんですが、胃が痛くなりますね(笑)。今年も「締め切り厳守」でがんばります!
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