アメリア会員インタビュー


一念発起して翻訳学習を開始翻訳トライアスロン優勝の末の試練とは?

濱野 :それで、フェロー・アカデミーに入学されたわけですね?

喜須海 :初めは1年間の全日制コースに通って、そこで文芸翻訳家の布施由紀子先生の授業を受けて、やっぱり文芸翻訳って楽しいなと思いました。全日制のコースが終わったあとは、フェロー主催の文芸翻訳コンテストに応募した私の訳文を高く評価してくださった亀井よし子先生、そして芹澤恵先生のクラスを数年間、受講しました。

濱野 :その頃、アメリアの翻訳トライアスロンで総合優勝に輝いたんですよね?

喜須海 :ええ、勉強を始めて3年目です。「夢じゃないかな?」という感じでしたが、運がよかったんでしょうね(笑)。賞品でグアム旅行までいただいて、本当にラッキーでした。

濱野 :学習開始3年目で総合優勝というのはすごいですよ。トライアスロンで総合1位となると、周りからの評価も上がるのでは?

翻訳トライアスロンの優勝の賞品として行ったグアム旅行

喜須海 :どうなんでしょう。それを評価してくださったのかどうかはわかりませんが、亀井先生のお知り合いの方が出版社を紹介してくださって、ノンフィクションではありますが、2001年に出版デビューすることができました。

濱野 :すごい、まさに順風満帆ですね。

喜須海 :ただ、実はそのあとがあまり続かなくて……。別の出版社から3冊立て続けに依頼があって訳したのですが、結局それが全て出版中止になってしまったり。それからも、リーディングのお仕事はけっこういただいていたのですが、なかなか翻訳まで繋がらなくて。
 それに、やっぱりミステリーをやりたいという気持ちが強くあったんです。そうやって悩んでいたとき、亀井先生も、ミステリーの先生のところで勉強したほうがいいと背中を押してくださって。それで、意を決して田口俊樹先生のゼミに移りました。

濱野 :田口先生のクラスはどうでしたか?

喜須海 :もともと田口先生の訳書は好きでずっと読んでいたので、直接指導を受けることができて幸せでした。あと、授業のあとにいつも飲み会があって、そこで先生やクラスメイトと大好きなミステリーの話に興じることができるのが、本当に楽しかったですね。

濱野 :その後は、田口先生の下訳などで修業を積まれたのでしょうか?

喜須海 :そうですね。田口先生のゼミには結局8年ほど通いました。「田口ゼミ」に入って1年目の夏休みに、長編の最初の1章分を訳してきたら、先生に読んでもらえるという自由課題みたいなものがあったんです。運よく、私の訳を先生に気に入っていただけて、「続きで下訳全部やってみる?」という流れで、田口先生から初めて下訳をいただきました。その後も、下訳をやったり、リーディングを紹介していただいたりしながら、夢だったミステリー作品のデビューを果たすことができました。

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