アメリア会員インタビュー


パーネル・ホール、アガサ・クリスティ……憧れの作家の作品を訳すことが夢

濱野 :今後の夢は何かありますか?

喜須海 :『ジブラルタルの女王』のとき、翻訳中に涙が止まらなくなったり、「これはいいシーンだなあ」と感動したりすることがたくさんありました。またそういう本に出会えたらいいなあ、と思います。あとは、長く読み継がれるような本を訳したいですね。

濱野 :具体的に訳したい作家はいますか?

喜須海 :コージー・ミステリーも大好きで、特にパーネル・ホールは全作品読んでいるほどの大ファンです。以前、短篇を1作だけ担当したことはあるのですが(ランダムハウス講談社刊『ポーカーはやめられない』所収の表題作)、ぜひまたパーネル・ホールの作品を訳してみたいです。
 レジナルド・ヒルとか、スティーヴン・キングは夢のまた夢です(笑)。あと、昔から愛読してきたアガサ・クリスティの作品は、仕事に結びつくかどうかにかかわらず、時間を見つけて自分で訳してみたいと思っています。

濱野 :では逆に、今後の課題は何かありますか?

仕事場から見える富士山 冬は特にきれいに見えます

喜須海 :仕事が来ると安心してしまい、それだけに没頭して他のことをやらなくなるところをなんとかしなきゃと思っています。原書を探したり、訳文向上の勉強をしたり、そういうことにも時間を注ぎたいですね。翻訳業界で長く仕事をするには、それも大切だと思うので。

濱野 :最後に、デビューを目指して出版翻訳を学習中の方に、先輩としてメッセージをいただけますか?

喜須海 :先輩だなんておこがましいですけれど、私も学習歴だけは長いのでアドバイスしなければいけませんね(笑)。うーん、やっぱり今できること―目の前にあることを必死にやるしかないと思います。クラスの課題でも、アメリアの定例トライアルでも、とりあえずそれを一生懸命やる。それしかない。

濱野 :あと、最初にも出ましたが、人とのつながりも大切ですよね。

喜須海 :そうですね、編集者さんはもちろん、もし学校に通っているなら、クラスメイトとのつながりも。あと、良い先生との出会い、それは絶対に大切にしたほうがいいですね。

濱野 :ありがとうございました。エンタテインメントの基本は人を楽しませること、翻訳で人を感動させたい―それが根底にあるからこそ、ロマンスでもミステリーでも、さまざまなジャンルでご活躍されているんでしょうね。今後のさらなるご活躍を期待しています!

■好きな作家の話をするとき、笑顔が輝いて本当に楽しそうだった喜須海さん。小学生時代からのすさまじい読書量が、翻訳家としての確固たる礎になっていることがお話からもひしひしと伝わってきました。憧れのミステリー作品でのご活躍、期待しています!喜須海さん訳のクリスティもぜひいつか!

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