アメリア会員インタビュー


自分のペースで粘り強く、子育てと翻訳を両立

坂田:ワークショップに参加して以降は、どうしましたか?

大沢:その後、主人の転勤で茨城県つくば市に引っ越しました。地方在住になってしまったのでワークショップには参加できません。そこで、事務局に「地方在住でもできる仕事はありませんか」と連絡を取って、リーディングの仕事を紹介してもらい、何度かやりました。それからしばらくして、下訳の仕事もいただきました。

坂田:ということは、独学を続けながら、仕事探しも積極的に行い、少しずつ実績を積んでいったという感じですね。

大沢:そうですね。

坂田:お話をお伺いしていると、粘り強いタイプというか、腐らないタイプというか、少しずつでも一歩ずつ一歩ずつ階段を上っていった感じがしますね。

大沢:友達にも粘り強いねといわれたことがあります。子どもが生まれるなど、生活が変化している時期だったので、それはそれで忙しくて……。翻訳だけをやっていたら、なかなか芽が出ないと焦っていたのかもしれませんが、この頃の私は、自分のペースでやるしか仕方ないな、という感じでした。

坂田:生活は忙しいし、翻訳は先が見えないし、となると、自然と翻訳から遠のいてしまう方もいると思いますが、リーディングなど少しずつでも続けていたのが良かったのでしょうね。やはり、粘り強い!

大沢:「いつかは翻訳者に!」という気持ちがずっとあったんでしょうね。

坂田:では、その下訳のお仕事はどうでしたか? 自分ひとりで1冊訳すのは初めてですよね。大変だったのではないですか?

大沢:はい。それも、2人目の子どもが生まれてすぐだったんです。上の子もまだ小さくて、赤ん坊抱えながらパソコンに向かったりしていたのですが、納期までに1人で1冊訳すのは絶対に無理だなとすぐに気づいて、結局お願いしてもう1人の方を探してもらい、2人で1冊の下訳をしました。「やりたい!」という気持ちが先行してしまい、自分の実力を見極めずに受けてしまったがための失敗です。お恥ずかしい限りです。

坂田:そうですか。本当はやってはいけないことだけれども、気づいた時点で早い時期に正直に相談するのは大切ですよね。育児や家事をしながら翻訳の学習や仕事をするというのは、時間のやりくりだけでなく、精神的な面でも大変ではないですか?

大沢:そうですね。家族の協力が絶対に必要だと思います。うちの場合は、主人が休みの日には子どもを外に連れ出してくれたりして、協力的でした。子どもが小さい頃はお昼寝をよくしてくれたので、その間に翻訳をしたり。仕事となると、かなりのプレッシャーがありましたので、締め切りを守るためにどうしても仕事に専念しなければならなくなったら関西の母に電話をして、1週間ほど子守に来てもらったりもしました。恵まれていましたね。

坂田:家族の助けはありがたいですね。そのときが初の下訳ということでしたが、その後の仕事につながりましたか?

大沢:実は、その後またブランクができてしまいます。主人の転勤でタイに3年間行っていたんです。その間、翻訳の仕事はまったくしませんでした。

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