アメリア会員インタビュー


金井 真弓さん

第97回

ロマンス、児童文芸、ビジネス書、自己啓発……あらゆるジャンルの垣根を越えて大活躍中金井 真弓さん

Mayumi Kanai
リーディング100冊以上、訳書は69冊 翻訳する時間は「楽しい時間」!

濱野 :今回のゲストは、出版翻訳の世界でご活躍中の金井真弓さんです。これまでにリーディングを100冊以上行ない、「青海まこ」のペンネームによるハーレクイン作品も含めると、訳書の数は69冊! 『リュボミアスキー教授の人生を「幸せ」に変える10の科学的な方法』(日本実業出版社)、『ロンドン・ロードで誓った愛は』(集英社クリエイティブ)、『ビューティフル・ディザスター』(早川書房)など、フィクション、ノンフィクションを問わずさまざまなジャンルの訳書をお持ちです。それにしても、デビューから11年で70冊というのは、驚異的なペースですよね。

金井 :初めは「生涯に1冊でも訳せればいい」と思っていただけだったのですが、依頼を引き受けてただただ夢中でやっているうちに、こういうありがたい状況になっていました。

濱野 :この冊数を出版されるというのは、大変なことだと思うのですが、やはり大忙しの毎日なのでしょうか? たとえば、寝る時間を削ったり……

金井 :とくに大変だと意識したことはありません。寝る時間や食事の時間はなるべく削らないようにしていますが、さすがに遊ぶ時間は多くはないかもしれません。ただ、じつは3年前から大学院に通っておりまして、単位の取得や論文執筆に時間を取られ、必然的に翻訳にかける時間を制限せざるをえない状況が続きました。そろそろ修了できますので、これからは翻訳に没頭してがんばりたいと思います。もちろん、ご依頼をいただければということですが(笑)。

濱野 :え、大学院ですか? 通学して論文を書きながら、これだけの数の訳書を……。とにかく、すごいとしか言いようがありません。もう仕事を投げ出してしまいたいと思ったことはありませんか(笑)?

金井 :翻訳している時間は自分にとって楽しい時間でもあるので、それが苦痛だと思ったことはありませんね。まあ、仕事が楽しいと言い切ってしまうのも、プロとしてどうかとは思いますが……。ただ、少なくとも出版翻訳は好きでないと続けられない仕事なので、私もなんとかやってこられたのではないかな、と。

濱野 :好きなことが仕事になるというのは、やはりベストですよね。金井さんの訳書をネットで検索したら、自己啓発、ビジネス書、児童文芸、ロマンスなど、あらゆるジャンルの作品が出てきました。ここまで訳書の幅が広い方にお会いするのは初めてです。フィクションとノンフィクション、ほんとうはどちらかに絞りたいというお気持ちはあるのでしょうか?

金井:よくそう訊かれるのですが、両方好きなんですよ。それぞれのよさがあるので、依頼されるかぎりは両方訳していきたいと思っております。基本的に、読者としても訳者としても、読んで楽しいと思える本が好きなんです。必ずしもハッピーエンドである必要はありませんけれど、「読んでよかった」と思える本となるべく関わっていきたい。そういう点では、コージー・ミステリーやヤングアダルト、ロマンスなどは、読んでいても訳していても楽しいですね。ノンフィクションも、ビジネス書や自己啓発書は仕事や人生を豊かにするための本ですから、楽しくてポジティブな気持ちで訳せます。

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