アメリア会員インタビュー


村地 秀行さん

第95回

IT・半導体から経済・金融系までマルチに活躍 子育てに奮闘するパパ翻訳者村地 秀行さん

Hideyuki Murachi
がむしゃらに働いた独身時代 いまは子育てと仕事に大奮闘

濱野 :本日のゲストは実務翻訳の世界でご活躍中のフリー翻訳者、村地秀行さんです。元SEという経歴を活かし、ITや技術系翻訳からフリーランスの道を踏み出した村地さん。現在は、経済・金融系の翻訳にどっぷりとハマっているそうです。さらに、自宅で子育てと翻訳を両立するパパ翻訳者さんでもいらっしゃいます。今日はお忙しいところ、ありがとうございます。

村地 :いえいえ、実務翻訳者は基本的に縁の下の力持ちという感じですから(笑)、今日はめずらしい機会でちょっと緊張ぎみです。

濱野 :実務翻訳者は縁の下の力持ちですか……(笑)。そんなそんな。ところで、今日は平日ですが、お子さんは?

村地 :さっき、保育園に預けてきたところです。会社勤めの妻は出勤時間が早いので、朝の子供の世話は私の担当です。それから、洗濯や子供をお風呂に入れるのも私の役目ですね。家事や育児については、妻と私でやることを決めて分担しています。

濱野 :理想的な共働きのスタイルですね。では、翻訳の仕事を始めるのは保育園から戻ってきてからになると思いますが、典型的な一日のスケジュールを教えていただけますか?

村地 :朝は大体7時半ごろに起きて、子供の朝食や身支度の世話をしてから、保育園に送り届けます。それから洗い物などを済ませるので、仕事を始めるのは10時ごろになることがほとんどです。取引先とメールのやり取りをすることもありますし、納品前でなければまず新聞やニュースサイトをチェックしますので、実際の仕事開始は昼近くになることも多いですね。昼休みをはさんで午後6時ごろまで翻訳業務に専念します。そのあと、夕食や子供のお風呂の世話があって、妻と子供が床に入る午後9時半ごろから0時前までまた仕事。それが基本的なパターンですね。仕事時間としては何とか8〜9時間を確保しているのですが、途中で間が空くことで効率が落ちますし、案件によってはもっと時間を要する場合もあるので、やりにくい面があることは確かです。

濱野 :翻訳はひとりで集中する時間が必要な仕事なので、お子さんが小さいうちはけっこう大変かもしれませんね。

村地:そうですね。翻訳という業務の性質からすると、仕事の条件としては非常に厳しいところがあります。ただ子供を授かった以上、この数年間は仕方がないかなと。子供というのは親がバタバタしていると不安に思うものですから、できるだけ余裕をもって接するようにしています。とくに子供が小さいうちは、一緒にふにゃふにゃしたり、そういう時間も大切にしないといけないと思っています。とはいえ、どうしても仕事が忙しいときは、妻に子供を任せて、週末を仕事に充てることもありますが。

濱野 :子供と「ふにゃふにゃする」ってなんだかいいですね(笑)。独身時代やまだお子さんがいないころに比べて、仕事の量に変化はありますか?

村地 :2007年に東京に来るまえは京都で暮らしていたのですが、そのころは何しろがむしゃらに働いていました。3週間、誰にも会わないなんてこともありましたよ(笑)。和訳の場合、実務翻訳者は1日2,000ワード程度が標準と言われていますが、当時は4,000ワード以上こなす日もよくありました。いまは子供の世話がありますから、そういうことはまったく無理です。安易に引き受けて取引先にご迷惑をかけるわけにもいかないので、とくに納期の非常にきつい案件については、お断りせざるを得ない場合もあります。

関連する会員インタビュー
子育てと両立実務翻訳