アメリア会員インタビュー

経済・金融系と技術系の案件をバランスよく受注 金融翻訳の魅力は、世界規模でモノを考えるわくわく感!

濱野 :フリー翻訳者になってから12年目の村地さん。IT・技術系から仕事を始めて、現在は経済・金融系のプロとしてもご活躍とのことですが、それぞれの仕事の割合はどの程度ですか?

村地 :平均すると、だいたい半々くらいでしょうか。ただ、波はありますね。半導体の大きな案件がずっと続いたり、ここ数ヵ月は経済系が続いたり。IT・技術系のほうは、近年は半導体関連の受注が増えています。よくわかりませんが、半導体関連の専門的な案件に対応できる翻訳者は、意外と少ないのかもしれません。

濱野 :なるほど。そうなると依頼が集中するのかもしれませんね。経済・金融系の翻訳では、どのようなドキュメントの仕事が多いのですか?

村地 :アニュアルレポートや目論見書などは、1回の分量が多いですね。頻度が多いのはマーケットレポートやプレスリリースの類でしょうか。

濱野 :とくに好きなテーマや訳していて楽しいドキュメントは何かありますか?

村地 :みなそれぞれに興味深いのですが、とくに世界的な経済情勢に関わるマーケットレポートなどが面白いと思いますね。ファンドマネージャーやアナリストの人たちは、中央銀行の動きや主要な経済指標、突発する地政学リスクなど、さまざまなファクタを考慮に入れて情勢を分析します。最近で言えば、ウクライナ紛争やエボラ出血熱の話が登場したり。もちろん、あくまで特定の立場・関心からの分析であり、なかには的外れと感じられるようなものもあったりしますが、まさに世界を揺るがしている現在進行形の話題が絡んでくるわけで、翻訳していても、ダイナミックに変動する世界情勢を相手にするわくわく感みたいなものがあります。そのあたりは、科学技術系の案件にはない醍醐味と言えるかもしれません。

濱野 :なるほど。経済・金融翻訳では、近々の社会や経済情勢など時事的なことが密接に絡んでくるわけですね。魅力的なのがわかります。お仕事は翻訳会社経由ですか?

村地 :米国のマーケティング関連企業から直接お引き受けしているものが一部ありますが、基本的には翻訳会社経由の案件です。

濱野 :やはりトライアルを受けて、少しずつ開拓していったのでしょうか?

村地 :それはそうなんですが、トライアルを受けた回数はそれほど多くはありません。フリーになって最初に合格した数社のお仕事から派生して広がっていった感じですね。その会社を退職された担当の方が別の会社に移って、またお仕事をいただくようになったり。そうやって、自然に取引先が増えていきました。
 結果的に複数のジャンルにわたって英日・日英の両方の案件に対応していますので、時期によっては下火になる分野も出てきますが、一時途切れてもしばらくすると声を掛けてくれる取引先が多いです。これには本当に感謝しています。IT・半導体では10年以上お世話になっているコーディネーターの方もいます。私にとっては駆け出しのころから生計を支えてくれた恩人であり、特別な存在です。

濱野 :同じコーディネーターさんからの仕事が途切れずに長く続くというのは、それだけ信頼が厚いということですよね。すばらしいです。

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