濱野 :すでに経験豊富な長本さんですが、さらにスキルアップのために実践していることは何かありますか?
長本 :翻訳の質や量の向上、対応可能分野をさらに広げることを視野に入れて、関連の本を読んだり、フェイスブックの翻訳者グループの記事をチェックしたり、通信教育を受講したりしています。それと、仕事の効率化を進めるために、翻訳者向けマクロの勉強会にもときどき参加しています。私はマクロを組むのではなく、マクロを使おうとしているだけですが(笑)。
濱野 :マクロ……よく聞きますが、正直、漠然としか知りません。具体的にはどういうものなのでしょうか?
長本 :パソコンで使う個々のアプリ向けのプログラムです。マクロを実行すると、アプリが指定された作業を行なう。そのマクロを利用して、翻訳を効率化していくんです。たとえば、半角と全角が混ざっていないかとか、半角スペースを入れるべきところに全角スペースが入っていないかとか、そういったことを瞬時に確認できるようになるわけです。
濱野 :ありがとうございます、すっきりしました(笑)。やはり実務翻訳では、そういったマクロや翻訳支援ソフトなどのPCスキルが大切なんですね。
さて、フリー2年目で仕事にトライアルに大忙しの毎日だと思いますが、趣味やリラックス法は何かありますか?
長本 :今まで犬バカ加減を披露してまいりましたので、言うまでもなくお察しかもしれませんが、犬と遊んだり散歩したりしているときが、いちばんリラックスできる時間ですね。それ以外で趣味と言えば……就寝前の読書でしょうか。特にミステリーやマンガが好きで、読書ブログもつけています。
濱野 :読書ブログまでやってらっしゃるとは、本格的ですね。最近のお気に入りはどんな本ですか?
長本 :最近好んで読んでいるのは、近藤史恵さんの推理小説。あと、アガサ・クリスティのポアロ物を改めて全部読もうと思い立って……それがそろそろ終わるところです。
濱野 :仕事関連以外の本を読んでいるときって、リラックスできますよね。わかります。さきほど、犬に関する翻訳に携わるのが夢というお話がありましたが、ほかに今後の目標や夢は何かありますか?
長本 :翻訳者というのは、情報の発信者と受け手の橋渡し役だと思うので、その橋渡しの途中で一部がこぼれてしまったり、変わったりすることのないよう、相手にしっかり伝わる翻訳を日々心がけていきたいですね。あと、長い目で見た目標としては、翻訳のワークフロー作りに総合的に関わっていくような仕事もしたいと考えています。メーカーでの翻訳業務を長年経験したおかげで、ローカライゼーションの翻訳フローの勘所を心得ているという自負がありますので、それを活かして何か仕事がしてみたいという気持ちが強いです。ただ原稿をもらって翻訳して終わりというだけではなく、その前後にも積極的に関わって品質向上や効率化ができたらいいな、と。
濱野 :なるほど。これまでのご経験を活かして、一歩先行く翻訳者を目指されているんですね。今日はお忙しいところ、ありがとうございました。フリー2年目でコンスタントに仕事を獲得されているのは、すごいことだと思います。これからのさらなるご活躍、お祈りしています!