アメリア会員インタビュー


仁科 夕子さん

第109回

昼間は翻訳会社勤務、夜は翻訳学習……文系出身からメディカル翻訳者に転身仁科 夕子さん

Masao fujisawa
ITの経験も活かしながらメディカルと分析機器の仕事に対応

濱野 :本日は、メディカル翻訳者としてご活躍されている仁科夕子さんにお越しいただきました。ITやメディカル分野の社内翻訳者・チェッカーとして約13年間勤務されたあと、昨年6月にフリーランスに転向された仁科さん。プロフィールによると、翻訳会社勤務の経験や翻訳学校での学習を通して、バックグラウンドゼロからITやメディカルの翻訳スキルを学ばれたそうです。フリーランスに転向されてから半年以上が経過しますが、お仕事は順調ですか?

仁科 :いまのところ、ありがたいことにほぼ途切れることなくお仕事をいただいています。

濱野 :現在は、何社くらいの翻訳会社から仕事を請け負っているのでしょうか?

仁科 :フリーランスになる前に勤めていた2社とトライアルを受けて登録した1社がメインです。メディカル翻訳者と名乗っていますが、仕事の内容はメディカル分野が6割、分析機器関連が4割程度の割合です。

濱野 :分析機器というのは具体的にはどのようなものですか?

仁科 :物質の組成や構造などを調べる装置で、学術研究機関での実験、環境調査、工業分野での各種測定、医療用、ライフサイエンス分野など、さまざまな分野や用途で使われています。たとえば、食品の残留農薬や混入物の調査、血液の分析などがわかりやすい例でしょうか……

濱野 :メディカル分野と重なる部分もあるようですね。

仁科 :そうですね。医療用として使われる機器もありますし、医薬品の製造工程で使われる機器もあります。また、機器という括りでは医療機器と重なる点もありますし、ほとんどの機器がソフトウェアで制御されるため、IT翻訳の経験も役立っています。

濱野 :では、仕事の6割を占めるメディカル分野のほうですが、こちらはどのような文書が多いのでしょうか?

仁科 :今は打診していただいた仕事をなるべく受けているため多種多様です。マーケティング関連文書、社内資料、研修用資料、治験関連文書などさまざまな文書があります。ほかに医療機器の取扱説明書などの案件もご依頼いただきます。

濱野 :かなり幅広いドキュメントを担当されているのですね。メディカル分野は需要が安定しているとよく言われますが、その中でもとくに需要の高いドキュメントは何かありますか?

仁科 :ここ数年は医療機器の文書が多くなっているという印象があります。翻訳会社の方とお話ししたときに、医療機器関連の文書にも対応することを伝えると関心を強く持っていただいたこともあります。医学や薬学だけではなく工学や技術に関する知識も必要になるため、敬遠される方が多いことも影響しているかもしれません。これは私の勝手な想像ですが。

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