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本日は、協力会社の海と月社さんから刊行された新刊書『奇妙な死刑囚』をご紹介いたします。
翻訳者は栗木さつきさんです。



ある日突然まったく身に覚えのない事件で逮捕され、死刑囚にされた黒人男性。
名前はアンソニー・レイ・ヒントン。本書の著者です。
彼が死刑囚にされた理由は、貧しく黒人だったから。
アリバイもあり、確固たる証拠もあったのに、法廷ではすべて無視され、何度裁判を繰り返しても、死刑という判定は覆りません。
狭くて暗い独房内では、ゴキブリやネズミが這いずり回り、いつ自分が連れて行かれるとも分からない処刑室までわずか数メートルというところで長い年月を過ごしました。
その年月たるや30年-。

早速読ませていただきましたが、途中何度も読むのが辛くなりました。
30年もの間、いつ処刑されるとも分からない状況で生きていくなんて、想像しても想像しきれません。
それも身に覚えのない罪で。
私なら、きっとまともな精神ではいられないと思います。

ただ、そんな辛い状況でさえヒントン氏は、人間性を失わず、毅然とした態度で、そしていつだって人を楽しませようとするユーモアを忘れません。
読むうちに、こちら側が鼓舞されるような気持ちにさせられます。

支えてくれた友人、優秀な弁護士の存在もとても印象的でした。
特に弁護士が、ヒントン氏を認めようとしない相手に対して、一歩もひかず、頑とした姿勢で相手に対峙するシーンには胸が熱くなりました。

掛け値なしに、ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊です。
編集者のMさん、ご恵贈くださりありがとうございました。

アメリア事務局 河原