医療機器などの実務翻訳と出版翻訳でご活躍の安齋奈津子さん Flavor
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<第113回>  全5ページ
満を持してフリーランス転向 夢だった出版翻訳の仕事もスタート!

濱野 :医療機器メーカーを経て、フリーランスに転向された安齋さん。実務翻訳の仕事はすでに経験もお持ちなので問題ないとして、出版翻訳のほうはどのようにスキルを磨き、仕事を獲得されたのですか?

安齋 :独立を決めたあと、1年ほど医療機器メーカーに勤めたまま準備期間を設けたのですが、そのあいだにフェロー・アカデミーのロマンスの短期講座に通い、次に通信講座のマスターコースを受けました。さらに同時進行で、アメリアのスペシャルトライアルや他社のトライアルなどにも積極的に参加して、会社員のうちにリーディングや下訳の依頼がぽつぽつ来るようになりました。

濱野 :5年以上かけて実務翻訳の礎を築き、フリーになる準備期間のうちに出版翻訳への道も少しずつ着実にまえに進めておく。すばらしい準備の進め方ですね。その後フリーになって8年のあいだ、実務翻訳の仕事を請け負いつつ、出版でもすでに10冊以上の訳書を上梓……すごく順調ですよね。

安齋 :順調、という実感はあまりなかったです(笑)。独立した時点で仕事を確保できていたとはいえ、そのあとは横ばい状態が続き、自分が望んでいたほど仕事は増えませんでした。

濱野 :それは出版についてですか? 実務も?

安齋 :両方です。実務については読みが甘かったですね。医療機器はとても幅が広いジャンルなので、会社員時代に扱っていた機器だけでは守備範囲が狭すぎました。フリーランサーとしての実績も乏しく、理系のバックグラウンドもなく、受注は伸び悩みました。数年その状態が続いた時点で、メディカルについてはオンサイト業務に戻ることにしました。

濱野 :それは大きな決断ですね。オンサイトのお仕事はどれくらい続けられたんですか?

安齋 :週3〜4回の仕事を、2年半ほど続けました。医療系の団体で、医療機器全般の安全性情報を抄訳にまとめる業務を担当しました。医師免許持ちのチェッカーさん、あらゆる分野の医学文献……最高の環境で守備範囲を広げることができましたね。フリーランスとの両立は楽ではなかったですが、2年半後にフリーランス専業に戻ったあとは、満足のいく水準まで仕事量を伸ばすことができました。

濱野 :そのあいだも、出版翻訳の仕事は続けていたのでしょうか?

安齋 :はい、ノンフィクションを。ただ、目標だったフィクションは足踏み状態で、ひたすらリーディング、たまに下訳をいただけるという状況が続きました。そのうちに、フィクション足踏みの原因がわかってきて、それを修正しないと先に進めないことも認めざるをえなくなり……(笑)。修正は独力では難しいということで、フェロー・アカデミーの通学講座に通うことにしました。亀井よし子先生のゼミに2年ほど通い、現在は柿沼瑛子先生のゼミを受講しています。

濱野 :実務翻訳をオンサイトに変更したり、出版の仕事をしながら翻訳学校にも通ったり、とても動きが柔軟で、それが最後にはいい方向に進んでいますよね。

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