在宅翻訳と観光情報発信を両立する阿部美雪さん Flavor
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Flavor of the Month
<第119回>  全5ページ
あらゆる翻訳の要素が詰め込まれているゲーム翻訳。「オンサイトのゲーム翻訳からこの仕事に入ったのはとてもラッキーだったと思います」

岡田 :帰国して外資系ホテルに勤務後、どっぷりと翻訳の世界に入るためにオンサイトのゲーム翻訳の仕事に就いた阿部さん。ゲーム翻訳のお仕事はいかがでしたか?

阿部 :私はもともとゲーマーというわけではなかったので、ゲーム翻訳独特の形式や用語など、最初はわからないことだらけでした。でもオンサイトで勤務して、翻訳からレビュー、リライト、音声収録、バグ修正まで一連の作業に携わり、ゲームができ上がっていくプロセスを間近で見ていくことで、かなり実践的に仕事を覚えられました。翻訳する内容もストーリー性がありますし、オリジナルのゲームの世界観をチームで再現していくのがとても面白かったです。自分で翻訳もしましたが、外部の翻訳者さんとのやりとりなどでコーディネイター的な役割をすることもあったので、翻訳者として何が求められるかということも現場で知ることができました。

岡田 :一言でゲーム翻訳と言っても、いろいろな要素がありそうですね。

阿部 :はい。ゲーム翻訳には、翻訳のあらゆる要素が詰め込まれているんです。UIやマニュアルはIT系の実務翻訳、ストーリー部分では文芸翻訳。吹き替えや字幕では映像翻訳。パッケージやWEB、プレスリリースはマーケティング翻訳……。今にして思えば、オンサイトのゲーム翻訳からこの仕事に入ったのはとてもラッキーだったと思います。

岡田 :そしてそのオンサイトでのゲーム翻訳のお仕事を5年続けた後にいよいよ独立されたわけですね。

阿部 :はい。フリーになってからは、ゲーム翻訳はオンサイト勤務していた会社のご縁で、マーケティング翻訳はアメリアの求人情報等でみつけた翻訳会社のトライアルを受けてお仕事をいただくようになりました。同時に通学の翻訳講座にもいくつか通いました。そこで知り合いになった受講生仲間とは、今でも毎月勉強会を続けています。書籍やWebニュースの翻訳などは、通っていた翻訳講座の講師にご紹介いただきました。

岡田 :独立されてから、順調にお仕事が入っているようですね。

阿部 :取引させていただいている会社にも恵まれていると感じます。実は、とある翻訳会社からIT系のマーケティング翻訳をご依頼いただき、自分なりに読みやすく仕上げたつもりが、「訳が雑」と厳しいフィードバックをいただいたことがありました。フィードバックを読み返し、全面的にやり直して再提出したものの、その後しばらくお仕事の依頼がなかったので、取り返しのつかない失敗をしたのかとだいぶ落ち込みました。

岡田 :それはなかなかの挫折だったかもしれませんね。

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阿部 :でも半年後くらいに、またその会社がお仕事を下さったんです。その時も非常に細やかなフィードバックをいただきました。修正してお返ししたところ、今度は「期待していた以上の仕上がりになっていて感激しました」と言っていただけて、それからは継続的にお仕事をいただいています。もちろん、本来は最初から満足していただけるものを送らなければいけないのですが、わざわざ手間をかけて的確なフィードバックをくださり、育てていただいたことにとても感謝していますし、いい信頼関係が築けています。

岡田 :最初から順風満帆なんてことはそうそうありませんね。フィードバックに真摯に向き合って、満足される訳に仕上げた阿部さんだからこそ、その後もお仕事が続いていくんだと思います。

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