【アメリア】Flavor of the Month 27 井ノ迫 純子さん
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Flavor of the Month
<第27回>  全5ページ


どんなに落ちこぼれても、翻訳の勉強はやめませんでした


坂田:結局、翻訳学校には何年間通ったんですか?

井ノ迫:1年半です。1年半経った頃に、夫の転勤が決まり、東京に引っ越すことになったんです。

坂田:東京に来てからも、翻訳学校に通ったのですか?

井ノ迫:はい、そうです。大阪では当時は映像のクラスがなかったので、もし東京に行くことがあったら、映像翻訳に挑戦してみたいと思っていたんです。だから、東京に引っ越してきた時には、子どもの頃からの思いがむくむくとよみがえってきて、半年後には映像翻訳のクラスに通い始めていました。

坂田:最初、出版のクラスでは「ちょっと場違いかな」と感じたということでしたが、映像のクラスではどうでしたか?

井ノ迫:やっぱり、とんでもなく落ちこぼれました(笑)。最初はよかったんです。先生にも「うん、うん」って言われて。でも、いい気になっていたら、すぐにメッキは剥がれてしまい……。やはり、他のみなさんとは積み重ねているものが全然違うなということを感じました。もうダメかなと思ったこともあったし、実際、本当にダメだったんです。毎回、毎回、点数を付ける先生がいたのですが、本当にとんでもない点数ばかりで……。それでも先生は見捨てずに、言い方はとても辛辣でしたが、でも愛情溢れる授業でした。だから、どんなに酷評されても、なぜか辞めたいと思ったことは一度もなく、なんとかしがみついてついていき、いちばん上のクラスまではいくことができました。

坂田:映像のクラスには何年間通ったんですか?

井ノ迫:結局、2年間通いました。そこで勉強するうちに、映像翻訳というのは映画だけではない、ドキュメンタリーやスポーツ番組などもいっぱいあるのだというのがわかってきたんです。そちらのほうにも興味があったので、勉強してみたいと思い、そうしたクラスのある別の翻訳学校に通い始めました。

坂田:より実践的な勉強を、ということですね。

井ノ迫:そうです。出版翻訳のクラスに通っていた大阪での1年半、映像の中でも字幕を中心に勉強した東京での最初の2年間、そこでは表現力、文章力を徹底してたたき込まれました。そして次に学んだのが映像翻訳の現場ですぐに役立つような実践的なノウハウでした。映画に限らず、ドキュメンタリーやアニメなど、いろいろな素材を使って勉強するのですが、この時になって最初に苦労した表現力、文章力の勉強がものすごく生きてきたんです。翻訳というのは、最終的にはそこなんだと強く感じました。最後の実践的な勉強がプロへと踏み出す大きなステップになりましたが、その前の3年半がなければ、たどり着けなかっただろうと思います。

坂田:そこまで計算して選んだわけではないでしょうが、とても良いステップを踏んできたという感じですね。

井ノ迫:はい。学校をあちこち変わったりするのは良くないかなと思ったこともあったのですが、結局はよかったな、いいように進んでいけたなと思っています。

坂田:また、途中で投げ出すことなく、それぞれのステップをきっちりと身に付けていったことが良かったんでしょうね。

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