【アメリア】Flavor of the Month 37 小瀬村 文子さん
読み物
Flavor of the Month
<第37回>  全5ページ


まだ始めたばかり、とにかく今はやるしかない!

坂田:翻訳に興味を持ったのは最近のようですが、文学には以前から随分と興味があったようですね。

小瀬村:はい。そういう意味では翻訳も、昔から興味があった文学と底辺のところでつながっているのかもしれません。


坂田:文学に興味を持ったのは、いつ頃ですか?

小瀬村:生まれは神奈川県の小さな町なんですが、隣に大磯という町があって、そこに西行法師という歌人の石碑が建っていたんです。それが私の文学体験のいちばん最初だったと思います。多分、小学生か、幼稚園ぐらいだったかもしれません。西行というお坊さんがいて、歌を詠んだんだなと、子どもながらに考えたのを思えています。それから、本を読むのが好きな子で、父の書斎でよくひとりで本を読んで過ごしました。だから、大学に進学するときも、迷わず文学部に決めました。卒論を書くことになって、何を書こうか悩んだあげく、選んだのがその西行法師でした。子どもの頃の体験を忘れていなかったんですね。西行というお坊さんは日本中を旅した人だったので、私もその同じ道を辿る旅をしたりして、文学的な背景や歴史的背景がある場所に行くのが私の趣味になりました。だから、私の中では、旅も文学も歴史も美術も、あらゆることがぜんぶつながっているんです。

坂田:そうですか。そこに今度は翻訳がつながったのですね。翻訳をやろうと決心して、勉強を始めてから1年が過ぎましたね。どっぷり翻訳につかった1年間だったと思うのですが、いかがでしたか?

小瀬村:この1年を振り返ってみると、翻訳の勉強のほうは、遅々として進んでいないなと思います。でも、自分の意識としては、翻訳のことをいろいろと考えるようになって、それだけでもよかったと思います。現実問題として、今から就職も難しいし、通勤するのも辛いし、家で好きな仕事ができたらいいな、それが翻訳だったら本当に幸せだろうなと思っています。才能があるかどうかはまだわからないし、努力をしても本当に翻訳家になれるかどうかはわからないけど、そんなことを今考えてもしかたがないので、とにかく今は翻訳家を目指して頑張ろうと思っています。

坂田:情報誌『Amelia』の「定例トライアル」や「新人翻訳家コンテスト」、アメリアWebサイトの「スペシャルトライアル」などに応募なさったことは?

小瀬村:まだありません。一度、勉強会で定例トライアルの課題を訳してみたのですが、まだまだだなと思って提出しませんでした。そのうち、参加してみたいと思います。

坂田:勉強会はずっと続いていますか?

小瀬村:はい、月に2回、今でも続いています。ただ、始めた頃は7人だったメンバーが、1年の間にいろいろとあって、就職した人もいたりして、今は3人になりましたが。

坂田:一緒に勉強できる仲間がいるというのは財産ですよね。同じ講座を受けて、苦労をともにした仲間だからこそのつながり、大事にしてください。

小瀬村:先生からも言われました。勉強会のグループができたなら、続けていった方がいいわよって。翻訳はすごく孤独な作業なので、落ち込んで「ダメかも」って思うこともよくあるけど、同じ思いを抱えている仲間から、「そんなことないよ、頑張ろうよ」と言ってもらえると、そこでフッと息抜きできるんです。翻訳の相談は、翻訳を勉強している者同士にしかわかってもらえないことも多いので、勉強会があってほんとうに良かったと思っています。
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