【アメリア】Flavor of the Month 58 上田さおりさん
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Flavor of the Month
<第58回>  全4ページ


勉強に夢中、気づけば英語の資格を全部取得した10年間

坂田 どんな試験を目指しましたか?

上田:英検2級は持っていたので、準1級、次に1級を目指そうと思いました。それから一度も受けたことのなかったTOEICも受けてみようと。

坂田:受験のための勉強法は?

上田:海外旅行中に単語帳を作ったように、私はボキャブラリーを増やすことや文法、語順について学ぶこと、などに特に興味があったので、英会話学校に通うことは考えずに独学を続けました。主に利用したのはNHKラジオ講座とBBCやCBSといった英語ニュースです。ひたすらディクテーションをして、テープを巻き戻しながら単語を全部書き取りました。

坂田:その成果はいかがでしたか?

上田:ビデオデッキが壊れそうなほど巻き戻しを繰り返してディクテーションをしたら、次第に英文法や英単語の構造がわかるようになり、耳で聞いたらスペルが想像できるほどになりました。他に、英検1級用の問題集なども並行してこなしつつ、1級合格までに結局2年くらいかかりました。1級に合格したその前後に初めてTOEICも受けました。880点でした。目標とした語学資格が取れ、転職もできましたが、まだどこか物足りなさを感じていて・・・・・・。それでフェローの講座に通い始めたんです。

坂田:翻訳を学び始めたということですね。でも、急に翻訳を思い立ったのですか?

上田:独学だったのでリスニングやスピーキングはあまり得意じゃなく、通訳になろうとは思いませんでした。常に英文と対峙して勉強してきたので、じっくりと向き合える翻訳をしようというのは私の中では自然な流れでした。週1回の夜間のコースで、翻訳基礎と実務基礎を受講しました。

坂田:翻訳を学んでみていかがでしたか?

上田:実はここで一度挫折をするんです。私が受けた実務翻訳の授業では契約書や貿易関係の英文を主に訳したのですが、これがなじみのない分野でもあり、難しかった。今なら、実務といっても他にもたくさん分野があるとわかるのですが、その頃はまだ知らなくて、翻訳を仕事にするのはまだまだ無理だと思いました。でも、翻訳からは離れたくなくて、この頃から英日の環境翻訳のメール上の勉強会に参加するようになりました。

坂田:環境に関する翻訳ですか。なぜ環境問題だったのでしょうか?

上田:小さい頃から社会問題に興味がありました。1992年に環境をテーマにしたサミットがリオ・デ・ジャネイロで開かれ、その頃から日本でも、世界各地の熱帯雨林が伐採されているといったことが騒がれ始めたんです。私も何かしたいと思い、ある国際環境NGOの会員になったり、環境翻訳の勉強会に参加したりしたわけです。

坂田:その後、イギリスに留学されたそうですね。これは、英語をもっときわめるため?

上田:英語を学びたかったのはもちろんですが、英語に限らず言語に興味があったので、イギリスで1年目に日本語教師の資格を取り、それから3年間現地で日本語教師の仕事をしていました。語学学校にも通い、ビザ更新のために資格が必要だったということもあり、外国人学習者を対象とした「ケンブリッジ英検」を受験しました。これは、おそらく外国人が受ける英語の資格としては、世界最高峰のものではないかと思います。帰国するまでに、二番目に難しいレベル(CAE)と、最上級レベル(CPE)に合格しました。このときテキストとして使った“Advanced Grammar in Use with answers” (Cambridge University Press, 1999年版 ワインレッド色) は、本当に最高の文法書でした。今でも英訳するとき、よく参考にしています。日本に帰ってきてから、まだ受験していない英語の資格として通訳案内士試験があったので、これも取得しました。

坂田:当初目標として考えていた試験は、ほとんど取得したということですね。帰国後はどのような仕事をしましたか?

上田:翻訳の仕事をしたかったのですが、留学する前に東京を引き払い実家の高知に戻っていたので、2年間は地元の銀行の国際金融部で働きました。中途採用で、銀行での勤務経験はまったくなかったのですが、ここでは語学の資格が大いにものをいってくれたのだと思います。その後、翻訳のボランティアを開始したのですが、以前やっていた環境英語のメール上の勉強会が、ジャパン・フォー・サステイナビリティ(JFS)という、日本の環境に関するニュースを発信するサイトに発展していました。そして日英のボランティア翻訳者を募集しているのを知り、これに応募しました。ボランティアとはいえ、トライアルがあったのですが、これに合格して、以来ずっと続けています。

坂田:現在は東京の会社で、オンサイトでIT翻訳をなさっているのですよね。

上田:はい。銀行に約2年勤めた後、翻訳の仕事ができる転職先を探しました。それが東京の会社でIT系だっので、再び上京を決めました。2007年のことです。

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