【アメリア】Flavor of the Month 1・和知良枝さん
読み物
Flavor of the Month
<第1回>   全3ページ


坂田:本格的ですねぇ。植物学者みたい! 調査は順調に進みましたか?

和知:いいえ、とんでもない! 植物図鑑を何冊も調べてやっとわかったもの、なかには、結局わからなかったものもありました。実は、モンゴメリは勝手に植物に名前を付けちゃうんですよ。そんなの、調べても出てくるわけないでしょう? でも、わからなければ、わからなくてもよかったんです。調べる過程でいろいろな発見があり、それが楽しくて! ふたりとも植物については全くの素人でしたから、普通の人には当たり前のことでも、私たちには大発見だったりしてね(笑)。当時は今のようにメールがありませんでしたから、片道たっぷり1週間はかかるエアメールでのやり取りでした。返事が来る前に、また手紙が書きたくなって、本当に膨大な量の手紙をやり取りしました。

坂田:それだけ『赤毛のアン』が大好きだったということですね。どれくらい調査を続けたんですか?

和知:約6年ぐらい続いたでしょうか。それぞれの個人的な事情で続けられなくなりましたが、当時集めた植物に関する資料は、今回ホームページを作るときに、とても役に立っているんです。なかでも貴重な資料だったのが、プリンス・エドワード島の州政府が発行した植物に関する小冊子でした。

坂田:そんな資料があったんですか。でも、よく手に入りましたね。書店で売っているわけではないんですよね?

和知:ええ。当時、小冊子を出しているという噂をどこからか耳にして、ダメでもともとと思い、州政府に直接手紙を書いたんです。「ぜひ、送って欲しい」って。そしたら、ちゃんと送ってくれるんですよ! それだけではなく、質問状を出すと、詳しい人を探して返事をくれるし。とても親切で、感激しました。

写真 何気なくはじめた翻訳の勉強ですが、いろいろな意味で役に立っています

坂田:今回、ホームページを作るに当たって、最初から原書をすべて読み返しているそうですね。

和知:そうなんです。私がもし翻訳の勉強をしていなければ、原書をすべて読もうなんて、考えもしなかったんじゃないかなと思います。翻訳の勉強を始めた頃に、英文を読むのにすごく時間がかかって、これではいけないから英語の文章を早く読む訓練をしようと、辞書をあまり引かずに、多少わからなくてもいいという気持ちで、速読の練習をしたんです。それが、役に立ちました。

坂田:ホームページのなかにある『赤毛のアン』から抜粋した部分の日本語訳ですが、これもすべて自分で訳しているそうですね。

和知:ええ、これも、翻訳の勉強をしたおかげです。もちろん、著作権の問題があり、出版されている日本語訳をそのままホームページに載せることはできませんから、自分で訳すしかなかったのですが。それと、植物をクローズアップして調べてみると、出版されている日本語訳は、結構間違えているところがあるんですよ。だから、植物に関する部分は自分で正確に訳したかったんです。

坂田:モンゴメリ好きの和知さんが、こだわった部分というわけですね。ところで、そもそも翻訳の勉強をしようと思ったきっかけは何だったんですか?

和知:えっと……、たまたま新聞で翻訳学校の広告が目に留まったからなんです。自宅で子供たちに英語を教えているんですが、ちょうど、英語力アップのために、なにかやろうと思っていた頃だったんです。最初は2日間のサマーセミナーに参加して。そしたら、これが結構面白くて! さっそく入学して勉強を始めました。でも、このときはフェロー・アカデミーじゃなくて……。受講していたクラスが終わりに近づいて、次はどうしようかと考えていたときに、クラスの友達からフェローのパンフレットを見せてもらったんです。「次はこれだ!」って思いましたね。フェローでは文芸翻訳クラスを受講したのですが、バラエティに富んだ教材が面白くて、あっという間の6ヶ月でした。その後はアメリアの会員になって、ときどきトライアルに挑戦しています。
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