【アメリア】Flavor of the Month 2・富岡佳代子さん
読み物
Flavor of the Month
<第2回>   全2ページ


写真 一朝一夕には手に入れられない。豊富な人生経験が翻訳には必要不可欠

坂田:富岡さんの話を聞いていると、翻訳の勉強が楽しくて仕方ないという印象を受けるのですが、今まで壁にぶち当たったことはないのですか?

富岡:もちろんあります! 壁だらけです。でも、まだ本格的に勉強を始めて半年ですから、つまずいてなんていられません。それでも一度、かなり落ち込んだことがあるんですよ。文芸のある先生に、20代のうちは文芸翻訳家にはあまりなれないといわれて……。少なくともあと10年かと思うと、ため息が出ました。でも、その反面、私が20代でなってやる! とも少しだけ思いましたが。

坂田:それは、人生経験が少ないからという意味でしょうか?

富岡:そうですね。それは私も感じます。クラスの年上の方の訳文と自分の訳文を比べると、違うんですよね。自分には経験していないことが多すぎて、想像で補わなければならない。これは結構、無理があるぞと思ったりして。

坂田:具体的にはどういうことですか?

富岡:文芸の教材で、主人公の男性が過去の女性遍歴を語る場面があったんです。男性の心情、恋愛経験の豊富な人の心情というのが、私には想像するのさえ難しくて。やっぱり上手に訳しているのは、経験豊富な(?)30歳以上の人だったような気がします。今日も、お姑さんの介護をする女性の話だったんですが、私は介護をしたこともなければ、お姑さんもいないし……。

坂田:英語を理解するとか、日本語に訳すとか、それ以前の問題なわけですね。経験を積むためには10年が必要だと。

富岡:そうなんです。私は一度も働いたことがないので、フェローを卒業したら、翻訳に関係なくてもよいので就職したいなと思っています。働いてみないとわかりませんが、働きながらできれば学校にも通って……。とりあえずは、年上の人といっぱい話した方がいいのかなって思っています。幸い、クラスはみんな年上で、一緒に飲みに行ったり、仲がいいんですよ。

坂田:文芸が第一志望ということですが、実務も勉強なさっているとか。

富岡:はい。最初の授業選択のときに勧められて。でも、今、実務も楽しくなってきているんです。自分が全く知らなかったこと、新しいことを知るというのが快感なんですよね。たとえば見たことも触ったこともない機械のことを翻訳するとかね。毎日がそんな感じなので、授業に出るたびに発見があって、何度も言っていますが、やっぱり楽しいんです。


翻訳、翻訳の毎日だけど大きな夢があるから楽しめる!

坂田:翻訳以外に、休みの日は何をしていますか?

富岡:日曜日はバイトです。クリーニング屋さんで朝10時から夕方6時まで。これが最高のバイトなんです! 暇だから、お客さんがいないときはカウンターにノートを広げて翻訳の課題ができちゃう。お客さんが来たら、あわてて片づけて……。

坂田:わー、バイト中まで翻訳! まさに翻訳づけの毎日ですね。

富岡:土曜日は寝だめをしたり。平日、課題をしなければならないのでちょっと睡眠不足なんです。それから、大好きなネコと遊んでいる時間が一番多いかな。すんごく可愛いんですよ。“ぱふ”と“とろ”っていうんです。あとは、友達と飲みに行ったり、ジムに行ったり。

坂田:ジムに行くのはどうしてですか? 翻訳は座ってばかりで運動不足とか?

富岡:ひとつには気分転換です。それからどんどん太っていくのでまずいなと思って。20歳過ぎてからお腹が出てきちゃった気がして。でも、こうやって話していると、私の人生って、つまんない人生じゃないですか? 宿題やって、学校行って、バイトして。それしかないのかなって思っちゃった。

坂田:それを楽しみながら、前向きにやっているところがすごい! それはやっぱり翻訳家という夢があるからでしょう。素晴らしいことだと思います。これからも「楽しい!」って言いながら、どんどん前に進んで行けば、きっとイイコトが待っていると思いますよ。

話をしてみて、とても前向きで素直なところが素敵だなと思いました。スタート地点の意欲は十分、これから山あり谷ありの道のりでしょうが、その明るさで乗り切ってください! どんどん質問をする姿勢は、私も見習わなくっちゃ。
前へ トップへ