ブロードウェイ・ミュージカル、洋楽の翻訳を経験した小橋川尚弘さん Flavor
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<第121回>  全4ページ

小橋川 尚弘さん

第121回

仕事と勉強の充実した日々。めざすは映像翻訳家! 小橋川 尚弘さん

Takahiro Kobashigawa
IT関連企業からニューヨーク、そして音楽関連企業へ

加賀山 :今回は、実務翻訳を手がけながら翻訳の学習も続けている小橋川尚弘さんにおいでいただきました。最初はIT関連企業にお勤めだったそうですね。

小橋川 :はい。IT企業の物流子会社に就職しました。

加賀山 :もともとエンジニアだったのですか?

小橋川 :いいえ、完全に文系です。パソコン部品やハードディスク試験装置の輸出入や航空貨物を取り扱う会社で、通関書類を作ったり、フライトを予約したりする仕事でした。社会人として、取引先とのやりとりや、見積もりの作成、ビジネスマナーなど、一から学びました。英語が得意だったので、やがて仕事のメールや、航空貨物の輸出業務説明書(梱包、通関、必要書類などに関する手順書)を少しずつ翻訳するようになりました。

加賀山 :そのあとにインターンをされたとか。

小橋川 :音楽が好きでしたので、かねてから英語を使って音楽関連の仕事をしたいという希望がありました。探してみると、ハワイのビジネススクールを介して、海外の企業で働くインターンシップ(実務研修制度)があったんですね。そこでニューヨーク、ブロードウェイ・ミュージカル運営会社を紹介してもらい、働きはじめました。ミュージカルの広告や、説明文、パンフレットなどを全面的に管理している会社です。数カ月間でしたが、インターネットのブロードウェイ情報のデータベースをアップデートしたり、上演作品の日本語・英語の説明文を作成したりしました。

加賀山 :社会人になった当初から翻訳の仕事をしていたのですね。

小橋川 :そうですね。そして帰国後、音楽ソフト販売会社に入社して、店舗でハードロック/ヘヴィメタル担当として働きはじめました。

加賀山 :多彩な職業経験ですね。

小橋川 :もともとハードロック/ヘヴィメタルが大好きで、大御所でいうと、メタリカやボン・ジョヴィの長年のファンなんです。あとはガンズ・アンド・ローゼズとか。音楽の趣味をなんとか仕事に活かしたいという思いがありまして、それが実現しました。
 店舗ではハードロック/ヘヴィメタル担当として、接客や商品の仕入れ・販売に加え、フリー冊子に載せる海外ミュージシャンのインタビューを訳したりもしました。外国のお客様からのメール対応もありました。おもに在庫や中古商品の問い合わせで、和訳と英訳の両方です。冊子に掲載されるインタビュー記事のほか、海外レコード会社からの商品説明を翻訳したこともあります。

加賀山 :英語が得意だったのは、もしかして海外での生活経験があったからですか?

小橋川 :はい。父の仕事の関係で、私が小学1年のころにニューヨーク州ポキプシーですごしたことがあるんです。低学年で何も知らないままあちらの学校に転入したんですが、毎日の生活や人間関係がとても楽しくて、いまでも忘れられない思い出になっています。私は覚えてないのですが、学校初日の帰りに私がアメリカ人クラスメートを家に連れてきて、両親がビックリしたそうです。どうやって自分の家に誘ったのか、そのクラスメートとどんな話をしながら家に帰ったのか、覚えてないんですけどね。英語にかかわる仕事がしたいと思ったのも、アメリカでの体験があったからかもしれません。

加賀山 :音楽分野の翻訳で苦労はありましたか?

小橋川 :ハードロック系のよく知っているアーティストなら問題ないのですが、たとえば、あまりくわしくないパンクバンドなどですと、まず話者の一人称を「僕」とするのか、「俺」や「私」にするのかということから決めなければなりません。ミュージシャンそれぞれのイメージがあって、そういったキャラクターを生かすのが大事ですからね。そういう場合には、くわしい人に訊いて確認したり、バンドの経歴や音源を調べて、ひとつずつ決めていきました。

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