【アメリア】Flavor of the Month 21 ハーパー保子さん
読み物
Flavor of the Month
<第21回>  全4ページ


コンテストでもオーディションでも 審査員の目ではなく読者の目を意識して訳すことが大事


坂田ハーパーさんはアメリア以外にも、いくつかコンテストに応募していらっしゃるようですね。

ハーパーノミネ会員になるまでは、その目標を達成するためにけっこう忙しくしていたので、コンテストには無事ノミネ会員になった後に挑戦し始めました。そんななか、ある翻訳コンテストに入賞して、共訳ですが初めて訳書が出版されました。その後、アメリアを通じてお仕事をいただき、スタートレックものの書籍を2冊、共訳しました。

坂田:そうですか。アメリアのノミネ会員になってから運が向いてきた感じですね(笑)。コンテストには、たくさん応募なさったのですか?

ハーパー:コンテストは「数射ちゃあたる」式ではなくて、わりと狙いを定めて応募するほうで、数は少ないです。出版のインターネットオーディションにも登録して何度か応募しましたが、こっちはぜんぜん引っかかりもしませんでした。

坂田:ある一定のレベルに達したら、どんなコンテストでも入賞するというわけではないんですね。ご自分で分析して、どうしてインターネットのオーディションでは合格しなかったのだと思いますか?


ハーパー:うーん、その理由が分析できないから合格できなかったわけで、あまり説得力ないかもしれません(笑)。昨年応募したもう一つのコンテストで、「コンテストで入賞するのは危なげなくまとまっている訳文だが、商品としての翻訳には違う面が必要」という旨の講評がありました。そのあたりがポイントではないでしょうか。確かに、コンテストでは読解力・表現力・調査力などのバランスが重視される傾向があると思います。一方、ネットオーディションの場合は刊行の決まっている書籍の訳者を募集するわけで、その書籍を出版社のイメージ通りの「商品」にできる人、たとえば「日本の読者に受けるように、リライトに近い翻訳ができる人」が必要であれば、バランス云々よりも作文能力の突出した人が選ばれるケースもあるでしょうし。


坂田:ハーパーさんご自身はいかがでしたか?

ハーパー:私個人について言えば、応募していたのは何年か前で、まだ本格的に仕事を始める前でしたから、そういった「商品としての翻訳」という意識に欠けていた面はあると思います。それと、締め切りまであまり日数がないものが多くて、エンジンのかかるのが遅い私は、まずそこで挫折していました。でも、基本的には「ある一定のレベルに達したら、どんなコンテストでも入賞する」可能性はあると思いますよ。コンテストでもオーディションでも、審査員の目ではなく読者の目を意識して訳すことでいい訳文ができるのは同じだし、コンテストで出題者の意図をくみとってそれに即した訳文にすることと、オーディションでクライアントの要望に即した「商品」に仕上げることは共通していると思いますから。
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