【アメリア】Flavor of the Month 23 ジョナサン・カッツさん
読み物
Flavor of the Month
<第22回>  全5ページ


尺八とピアノのコラボレーションで 日本の音楽を表現する


坂田:今、音楽活動は、どのようなことをやっているんですか?


カッツ:僕はピアノとホルンを演奏するんですが、今、一番前に出そうとしているプロジェクトは、アメリカ人の尺八奏者と僕のピアノの演奏。彼は僕の先輩で、もう20年日本に住んでいる。尺八奏者で人間国宝の故山口五郎氏のもとで勉強して、外国人として初めて東京芸大で尺八の修士をとった人。僕は彼と日本で知り合って、4年前から本格的にプロジェクトをやろうと思った。日本には、民謡、演歌、唱歌、ポップス、ほかにもたくさん素晴らしい音楽があります。こうした日本の素晴らしい音楽をベースに、アレンジを加えていくんです。即興も入れて、音楽は大いに広がっていきます。あと、尺八をどういうふうに西洋の音楽とミックスするか。ピアノと尺八はふつうは合わないけど、寄り合って、面白いことが生まれている。最近は波に乗ってきていて、NHKラジオのコンサートに出たり、カナダのトロント・ジャズフェスティバルに招待されたり、ヨーロッパ・ツアーに出たり。来年1月には横浜のモーション・ブルー・ヨコハマや、NYのブルー・ノートにも出演が決まっているんですよ。

坂田:アメリカ人がジャズの感覚で奏でる尺八。面白そうですね。聞いてみたい!

カッツ:もちろん、アメリカ人の感覚という面白さもあるし、彼は人間国宝のもとで深く日本の音楽を勉強しているから、その面白さもある。僕は、彼のようには日本の音楽を勉強していない。自分のバックグラウンドは、クラシックとジャズだから、日本の音楽「ふるさと」や「浜千鳥」を僕がアレンジすると、また違ってくる。

坂田:アメリカで音楽を勉強した素地に日本の文化が重なり合って、すごく魅力的な世界が広がりそうですね。

カッツ:それから、自分のジャズ・トリオの活動もあるし、名古屋フィルハーモニーのポップス・コンサートに参加したり、レコーディング・セッションをやったり、ほかにもいろいろとやっています。

坂田:音楽も、翻訳もというと、とても忙しいと思うんですが、どのように仕事をこなしているんですか? コンサートツアーにパソコンを持っていくこともあるんですか?

カッツ:そうねぇ。パソコンを持っていけば少しはできるけど、キツイね。荷物かついで電車の旅だから(笑)。向こうに着いたら、サウンドチェックとかリハーサルとか忙しいし、コンサートが終わったら打ち上げでしょう。できるだけたくさんの人たちに僕の音楽を聴いてほしいから、ツアーはできるだけたくさんの場所をまわるようにしているし。ツアー中は翻訳はできないから、翻訳の仕事を受けるときは、締切がそんなに厳しくないもの、分量が少なくてスケジュールの立てやすいものにしています。

坂田:大勢の人に聞いてもらう音楽の仕事と、一人でコツコツとやる翻訳の仕事はまったく両極端な感じがしますが。

カッツ:コツコツやる翻訳も好きだけど、毎日10時間とかはしたくないな(笑)。僕は音楽を愛しているし、才能もあると思う。音楽がないとつまらないよ。でも、翻訳もすごく面白くて、音楽とは別の意味で自分を磨くことができる。翻訳をすると、知識が得られる。知らなかった言葉を探して学ぶことができる。

坂田:カッツさんにとって、両方をやることは、とても大切なことなんですね。
前へ トップへ 次へ