【アメリア】Flavor of the Month 35 籠宮史子さん
読み物
Flavor of the Month
<第35回>  全4ページ


籠宮 史子さん

第35回
ニュージーランドで古書を仕事に 現地で出会った本を いつか日本に紹介したい!
  籠宮 史子さん
Komorimiya Fumiko


30歳を過ぎて翻訳に目覚め、集中的に勉強しました

坂田:みなさん、こんにちは。今月から2カ月連続で、海外在住の会員さんをご紹介します。まずは、ニュージーランドにお住まいの籠宮史子さんです。籠宮さんはニュージーランド人の方と結婚し、現在はご主人の古書店を手伝っているそうです。籠宮さん、よろしくお願いします。

籠宮:はい、よろしくお願いします。

坂田:ニュージーランドへ移住して、どれくらいになりますか?

籠宮:2002年6月に来ましたので、3年目ですね。

坂田:ニュージーランドで本に関するお仕事をなさっているというのは、とても魅力的ですね。そのあたり、あとでじっくりと聞かせてください。まずは翻訳についてですが、日本にいる頃に勉強を始めたのですか?

籠宮:そうです。勉強をはじめたのは30歳を過ぎてからなので、ちょっと遅めでしょうか。

坂田:そんなことはないと思います。社会経験を積んだあとに、やっぱり英語、やっぱり翻訳、と始められる方は多いですよね。

籠宮:私もそうでした。以前は雑誌の編集の仕事をしていたのですが、週刊誌でとても忙しい職場だったので、30歳を過ぎて、少し体調を崩したこともあり、それまでのペースで仕事を続けられるか自信がなくなっていました。仕事は、できれば一生続けたいと思っていたので、ほんとうに自分がやりたいと思える仕事をゼロから探し始めるには年齢的にぎりぎりかも、という焦りもありました。もともと英語が好きで、勉強するのを辛いと感じたことがなかったのと、子どものころから海外の吹替テレビドラマが大好きだったので、好きな英語が使える仕事のひとつとして翻訳を考え始めました。

坂田:翻訳という目標が見えてきた籠宮さんは、その後どうしましたか?

籠宮:翻訳を仕事にと考えたものの、具体的にどうすればいいのかわからなかったので、英語関係の仕事を紹介した雑誌など読んで研究しました。そこに翻訳学校の紹介記事や広告が出ていたんです。それを見て、フェロー・アカデミーの存在を知りました。仕事が忙しく、勉強と仕事の両立は無理だったので思い切って会社を辞め、全日制で集中的に翻訳の勉強をすることに決めました。そのうえで、翻訳が自分に向いているか見極め、だめなら諦めて他の道を探そうと。フェローには3カ月で実務・出版・映像翻訳の基礎を学べるコースがあり、短期決戦でいきたい私にはピッタリでした。

坂田:その結果、翻訳は籠宮さんに向いていましたか?

籠宮:さまざまな分野の翻訳を勉強するうちに、やはり映像翻訳を続けたいという思いが強くなりました。もちろん、3カ月勉強しただけですぐに映像翻訳の仕事ができるわけではありませんので、その後、昼間は派遣の仕事をして、翻訳の勉強は映像分野に絞って続けました。

坂田:実際に3カ月間、翻訳の基礎を勉強したことで、漠然とした目標が、よりはっきりとした目標になったわけですね。会社を辞めて勉強をはじめたわけですから、少しでも早く翻訳の仕事がしたいという気持ちがあったと思いますが、仕事につながる手応えはありましたか?

籠宮:はい、私が通っていた映像翻訳の学校では、授業の一環として、希望する生徒に実際にCS放送などに使われる番組の翻訳をさせてくれるシステムがあったんです。そこから仕事を始めました。また同じ頃、友人のつてで翻訳家の方から下訳の仕事をいただいて、勉強しながら少しずつお仕事を増やしていくこともできました。そのときに翻訳家の方々からいろいろご指摘をいただいたことが、とても勉強になったと思います。

坂田:翻訳家の方からのご指摘というと、具体的にどのようなことですか?

籠宮:当たり前かもしれませんが、いかに日本語としてきちんとした正確な文章を書くかということです。下訳のお仕事は映像ではなく出版翻訳だったのですが、読者の意識を途切れさせることなく、長文でも一気に読ませるように、原文の流れをいかに翻訳していくかが大事だということを教わりました。何度推敲しても納得いく文章が書けない部分は、結局提出したあとに確実に指摘されました。翻訳家の方の訳を見せていただくとやっぱりぜんぜん違う! まだまだ書き込みが足りないなーと思い知らされました。

坂田:そのとき、訳文を磨くために何か特別な勉強をしましたか?

籠宮:そうですね。特に意識してこれをしたという記憶はありませんが、「逆引き辞典」や「広辞苑」など、とにかく日本語の辞書をたくさん引いて、初歩的な日本語の間違いをなくすように努力しました。それから、いままで以上に推敲する回数を増やしたり……。そうそう、下訳だったので、その翻訳家の方の文体をまねて書いてみたりしました。自分の文章の悪い癖はそう簡単には直せるものではありませんが、他の人の文体をまねるとその悪循環が途切れます。私には有効な方法だったと思います。

坂田:それは面白い勉強法ですね。自分の日本語の文章に自信がない人は、好きな作家や翻訳家の文体をまねて訳文を作ってみるのもいい勉強になるかもしれませんね。ところで、籠宮さんはいつ頃アメリアに入会されたのですか?

籠宮:フェロー・アカデミーに通い始めてすぐに会員になりました。ですから、日本での会員歴が4年、ニュージーランドに来てからの会員歴が3年ほどになりますね。

坂田:海外会員としてのアメリアの使い心地はいかがですか?

籠宮:アメリアの使い心地に関しては、日本と海外で、あまり違いを感じることはありません。とてもコストパフォーマンスがいいというか、無駄がないと感じています。翻訳会社からの仕事情報など、たいていのことはインターネットを通じてできるし、そうした情報が多いので、翻訳家&タマゴの味方という感じ! 海外手数料も随分と良心的です。日本で購読していた翻訳関係の雑誌は、海外送料がとても高くて、購読をあきらめました。でも、あえてアメリアの海外会員として求めるとしたら、海外在住で翻訳をしている人の様子をもっと伝えてほしいです。どうやって仕事を獲得しているのか、同じような境遇の方の情報があるといいと思います。

坂田:海外だと、やはり日本にいる以上に情報が不足していると感じますか?

籠宮:それは、確かに感じます。いくら「今はメールでやりとりできるのだから、世界中どこに住んでいても問題ないだろう」と言われても、実際には「でもいざとなったら国内にいる翻訳者のほうがいいに決まってる」と腰が引けてしまい、在宅フリーランスの仕事でさえなかなか応募できません。実際に活躍している人がこんなにいる、という実績が見えてくると、海外在住者ももっと積極的になれるのではないかと思います。海外在住者の方にお仕事を依頼している翻訳会社の声なども聞いてみたいです。

坂田:わかりました。アメリアでも海外会員の方が増えてきています。今は日本に住んでいる人でも、いずれは海外に住みたいという方もいらっしゃるでしょう。海外会員のみなさんの声も、どんどんお伝えしていきたいと思います。

籠宮:日本企業の駐在員の家族などは、就労ビザが取れないので、おそらく自由になる時間があると思います。日本の翻訳会社の仕事なら、その国で稼ぐわけではないのでビザはいらないし、そういうニーズもあると思います。

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