【アメリア】Flavor of the Month 35 籠宮史子さん
読み物
Flavor of the Month
<第35回>  全4ページ


先住民族マオリの文化を日本にも紹介したい

坂田:海外に住んでいて、なおかつ本を扱う仕事をしていると、日本で翻訳出版するとよさそうな本を見つけるブックハンターになれるのでは、と思いますが、いかがですか?

籠宮:うーん、どうでしょう。先程言ったように、ニュージーランドの本の売上ランキングは、ほとんどがイギリス、アメリカで占められています。そうしたベストセラーの洋書の情報は日本でも簡単に手に入りますよね。例えば、ニュージーランド人作家の本で面白いものが見つけられれば、それは有利だと言えますよね。

坂田:籠宮さんがニュージーランドで読んだ本の中で、おすすめの本はありますか?

籠宮:最近は、おもしろそうな本を見つけると「日本で翻訳出版できないかな?」と、アマゾンなどで検索してみるのですが、だいたいもう翻訳されているんですよね……まだまだ読みが足りないです(汗)。以前、重度の障害がありながらも大学に行き、普通の女性として結婚、生命の危険を冒してまで子どもを産んだニュージーランド人女性の自伝に感動して持ち込みをしたことがあったのですが、ダメでした。残念! また、がんばります。

坂田:ニュージーランドの書籍市場で注目のジャンル、作品、作家はありますか?

籠宮:個人的には、ニュージーランドの先住民族であるマオリに関するものに注目しています。ニュージーランドは人口の8割がヨーロッパ移民の子孫であるため、これまではイギリスまたはオーストラリアとほとんど同質の文化が発達してきました。しかし近年は、先住民族マオリの文化を見直し、民族としてのプライドを回復するとともに、ニュージーランド独自の文化をもっと発展させようという動きが活発になっています。そういった意味で、ヨーロッパ文化とマオリ文化の融合から何が生まれてくるのか、文学に限らず大変気になります。同様に作家に関しても、今後増えてくるであろうマオリの新人作家に期待しています。

坂田:マオリの文化というと、言葉も英語ではなくマオリ語というのがあるのですか?

籠宮:はい、あります。日本語は母音+子音が常に組み合わさる言葉で、世界で類をみない特殊な言語、といわれるようですが、実は、唯一日本語に近い言語がマオリ語なんです。マオリの人が日本人の名前を呼ぶと、ほぼ完璧に発音できますし、逆に日本人がマオリ語を読むと、ニュージーランド人もびっくりの素晴らしい発音ができるのです。またマオリのオリジンは中国にあるとも言われており、文化的な共通点もいろいろあるんですよ。

坂田:それはおもしろいですね。ぜひ、日本にニュージーランド文化を紹介するブックハンターになってください! 一日本人読者として期待しています! 楽しいお話をどうもありがとうございました。

 
    ■籠宮さんが話してくれたニュージーランド事情は、実際に生活しているからこそ語れる、とても貴重な内容ばかりでした。それと同時に、世界中のどこで暮らし、どこで仕事をしていても、翻訳という媒体があれば、いつでも日本とつながっていられるのだな、ということも強く感じました。海外会員のみなさんからの新鮮な海外レポート、これからもお届けしていきたいと思います。
 
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