【アメリア】Flavor of the Month 36 番 由美子さん
読み物
Flavor of the Month
<第36回>  全5ページ


仕事はリーディングから徐々に広がっていきました

坂田:実際にアメリアを利用して得られた仕事には、どのようなものがありますか?

:リーディング、原書のリサーチ、現地の出版社との交渉、下訳などをしつつ、一年後に小説の翻訳、そして映画のノベライズの仕事を任せていただくことになりました。

坂田:翻訳のお仕事を得るのは、最初の一歩を踏み出すことが難しいと思います。番さんの場合はいかがでしたか?

:最初の一歩は、どこに手がかりがあるか分からないので本当に難しいですね。私もしばらく手探り状態で仕事を得る機会を探していました。最初のきっかけとなったのは「Biz-Amelia」の仕事情報で見つけたフランス小説翻訳者の募集広告です。結局その本は版権の問題で翻訳に至らなかったのですが、そのときの編集者の方からリーディングを任せていただくようになり、しばらくしてフランス関係の小説やノベライズのお話をいただきました。新米にどんどんチャンスをくださる懐の深い編集者さんと出会えたのは、本当に幸運だったと思います。

坂田:アメリア会員にも、リーディングからお仕事をはじめている方がたくさんいらっしゃいます。リーディングをするようになったら、自分から編集者へどんどんアピールしたほうがいいのでしょうか? 番さんの場合は、いかがでしたか?

:私の場合、リーディングはたまたま仏語関係の小説があったので編集者さんから声をかけていただいたのですが、その方は、「こういうテーマの本を探しているので、これはと思う本があれば知らせてください」ともおっしゃってくださいました。編集者の方々はいろいろなところにアンテナを張り本を探しているので、レジュメを持っていけば目を通してもらえる確率は高いのではないかと思います。

坂田:番さんがアメリアを通してなさった仕事のなかに、いくつか聞き慣れないお仕事もあるようですので教えてください。現地の出版社との交渉というのは、どういうことをなさるのですか?

:通常、現地の出版社との交渉は、版権エージェントを通して行うことが多いと思いますが、エージェントを通さず直接出版社同士で契約するケースもあります。そのような場合に、日本の出版社の依頼を受けて、連絡役として海外の出版社への問い合わせおよび交渉を行うという業務内容です。立場はあくまでも翻訳者ですので、必要が生じたときだけ行っています。

坂田:では、映画のノベライズのお仕事というのは、どういう内容ですか?

:翻訳が一言語から別の言語に移し変えるものだとすれば、ノベライズは映像を文字に移し変える仕事といえます。シナリオあるいは映像資料を事前にもらい、それを骨組みとして小説に仕上げていくのですが、セリフの合間に入れる登場人物の心情や説明部分など、内容を膨らませていくのが主な作業になります。

坂田:小説を書くような作業ですね。翻訳と比べて、どこが一番違いますか?

:翻訳は原文から足しても引いてもいけないというのが原則ですが、ノベライズの場合は原文にあたるものが映像ですから、言語的な面での制約が少ない。これは大きく違う点です。映像の場合、物語の背景や登場人物の生い立ちといった説明的部分は省かれることが多いのですが、小説の場合はそれを省くと物語の説得力に欠けるため、補う必要が出てきます。これは脚本家の頭の中を想像して書く作業なので、楽しくもあり、気を遣う点でもあります。
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